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がんを語る

医療・健康・介護のコラム

大腸がん(上) 患者最多 自覚症状少なく「突然の下血」「診断時には転移」

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内視鏡検査を受けていたのに「これは10年以上のがん」

――山田さんは最初から肝臓への転移がわかり、深刻な状況でしたね。

山田 転院した先の病院で、「これは5年やそこらじゃできない、10年以上たっているがん」と言われましたね。転移もあったし。要するに内視鏡の検査で発見されなかった。相当大きくなっていたはずと言われました。

――それが見つからなかったのは不思議に思いますが。

山田 僕の場合は腸の外側にできていました。腸ってひだひだになっていて、内視鏡は抜いていくときに映していくんですね。そのひだひだの裏側とか腸の外側にできちゃっているがんはなかなか発見できない。転院した病院ではチーム医療。欧米はもうほとんどそうなってましたが、当時、日本では珍しい感じで、信頼できる病院だなとは思いました。

――肛門も温存できたのですね。

山田 私のがんも肛門に近く、3センチしか離れていませんでした。ストーマをここにつけると印までしたので、私は最初からストーマをつけると思っていました。手術後、「ストーマなしだよ」と言われて、ほっとしました。ストーマというと永久的なイメージだったので、大変なことになったと当初はだいぶショックを受けていました。

告知直後は実感なく、2週間後にパニック 精神安定剤を服用

――荒居さんは診断時、どんな気持ちになりましたか。

荒居(写真左) 医師とは英語での会話でしたので、よく理解できない部分もあり、最初は全然「がーん」とならなかったんです。ただ、告知されて家に戻ってきて2週間ぐらいのとき、パニックの症状を起こしました。過呼吸のような状態が1日ずっと続くんですね。人に聞いたら、パニック症じゃないかということで、がんの診断を受けた病院で肺への転移がないかとか、いろいろ調べてもらっては、結局、精神安定剤をひとつもらって家に戻るというパターンでした。それが1か月ぐらい続きましたかね。薬を飲んで抑えて、薬を飲んで抑えて。

――今は何とかおさまったんですか。

荒居 そうですね。ただ、私はストーマを元に戻す手術も入れると、合計4回オペ室に入っているんですけれども、手術の後、意識が覚めて、麻酔の管とかいろいろある状況がだめみたいで、目が覚めたときに必ずパニックを起こして、もうじっとしていられないんですね。

――もう自分ではどうしようもない。

荒居 そういうときは液体の安定剤を点滴で入れる様子を見せてくれると安心するんです。だから、気持ち的なものだと思うのですけれども、精神的にはがん診断時よりも後でダメージがじわじわ来た感じですね。

本人以上に夫や妻が病気の情報収集

――家族は、みなさんががんになったことにどんな反応を?。

清水 夫は自然体で鷹揚おうように構えているふうでした。人の気持ちは中までわかりませんけれども、自分がおろおろしたらいけないという、男の人だからそういうのがあったと思います。でも私以上にいっぱい調べていましたね。ストーマの生活になるということは、ああだこうだと。でも実感がないんですよね。腸を引っ張り出して袋をぶら下げると言われても意味わかんない。頭がぐちゃぐちゃでした。

山田 うちは、やっぱり女房がいろいろ調べて、この先どうやって生活していこうかとか、いろいろ心配かけましたよね。家族がいるから頑張ってこられたのかな。

 そのころ子供たちが小学校5年生でした。双子なんです。男の子と女の子。子供には伝えようかどうしようかと迷いましたが、もう少し待とうということになり、内緒にしていました。その後、高校生ぐらいになってから話したら、「そんなの最初から知ってたよ。おじいちゃん、おばあちゃんが話していたのを聞いてた」と。子供というのは結構わかっているんだな、随分心配をかけていたんだなと思います。

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男性の3人に2人、女性の2人に1人が、がんになる時代です。このコーナーでは、がん種別に患者や経験者を招き、病との向き合い方を話し合います。
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知りたい人には知ってほしい画像診断の裏表

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

実の親(非医師)から「信頼のおける医師とは」とかよく説教メールが来ます。 勿論、親族やその知人の癌でもわざわざ存在を知らせたうえで相談はしません...

実の親(非医師)から「信頼のおける医師とは」とかよく説教メールが来ます。
勿論、親族やその知人の癌でもわざわざ存在を知らせたうえで相談はしません。

彼らは学会や研究会で有名な診断医や指導医、教授とも真面目に議論し、意外とみんな気づかない病変や読み筋を拾う僕を知らないので、肩書でしか判断できません。
とはいえ、これが一般的な社会的評価です。
「専門医や博士号は指標であって絶対ではない。偉い人にはそれがわからんのですよ」とかツッコみたくもなりますが、肩書がないだけに信じてくれる人のためにも標準医療や先進医療の裏表も含めて勉強しています。

さて、今回の話の中で目につくのは社会制度のルーチンで発見されなかった癌の事です。
今の標準であるバリウムや内視鏡の検査は消化管外の検出が弱く、胸部レントゲンやマンモグラフィはCTやMRIなどの3次元の画像に比べれば、やはり病変の検出が難しい。
PET-CTも、CTやMRIをゆっくり読めば発見できる多くの病変に関していえば、無用なコストと被ばくですが、読影医不足と過重労働の現実の中で、微細な病変を多くの医師が発見しやすい利点があります。
そして、本文でもありますが、転移巣や転移リンパ節の方が発見しやすい症例も時々目にします。
偉そうに書いてますが、僕が見落としをしないわけではなく、見落としをする自分や機械の弱点を知って対策を持っているだけの事です。
健診でも50歳以上の方や有症状の方の高度検査を推奨しています。

今回はがんがテーマですが、癌だけでなく、よくある疾患の典型的なケースの処理ミスで保険診療による寿命や健康寿命の延長、緩和治療の恩恵を受けられないのはもったいないです。
自分だけは大丈夫、うちの地域は大丈夫、そういう気持ちももちろん大切ですが、一方で、検査の性質や自分も他人もミスを犯し得る存在と知ることがより良い医療を受けるコツです。

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