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がんを語る

医療・健康・介護のコラム

大腸がん(上) 患者最多 自覚症状少なく「突然の下血」「診断時には転移」

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診断時には肝臓にも転移 手術不可能になり、抗がん剤治療継続

山田(写真右) 建築関係の仕事をしている山田です。来年1月で還暦です。私も直腸がんで、ある総合病院で内視鏡検査をしたら「がんがあります。進行がんです」と言われてショックを受けました。

 以前、学生時代からの先輩が同じ病院に大腸がんで入院されていて、手遅れで亡くなられたんですよ。手術もできない状態でした。入院中にお会いしたときに、「山田、おまえも年なんだから、大腸がんの内視鏡の検査を受けろよ」と言われて、そこの病院で受けました。そのときには、「山田さん、あなたはもう2~3年内視鏡なんか受けなくていいよ」くらいのことを言われました。それが08年ごろ。それで安心して何にもしなかったんですけれども、10年1月ごろ、トイレットペーパーに血がついたんですよ。切れ痔か何かだろうなと思って、6か月ぐらい放っておいたんですね。そうしたら今度は、血の塊が便と一緒に出てきたんです。これはただの切れ痔じゃないぞと思って、また同じ病院に行って内視鏡の検査を受けたら、直腸の進行がんと言われて慌てました。いろいろ私も調べて、手術例がトップクラスのがん専門病院に直接電話したところ、すぐに来いと言われました。

 そんな感じのスタートで、最初から肝臓に転移があり、何回も手術を受けました。1回目はその年の7月に直腸を切り、2回目は肝臓に転移している部分を切除しました。肝臓だけで6回ぐらい切り、肝臓を7割摘出する大手術もしました。それでも再発して、横隔膜やリンパ節のほか、肺にも転移して手術しました。それでもがんは消えず、「胸膜播種きょうまくはしゅ」という病名がついて、樹木希林さんじゃないけれども、あちこちにがんがある状態で、もう手術はできず、化学療法を受けている状況です。

痔なのか、がんなのか 都合よく判断してしまいがち

――かなり進行するまで自覚症状がないことも多いようですね。

清水 大腸がんって、最初はみなさん痔だと思ってしまうんですよね。その境目というか、違いは何だろうって思いますね。出血の仕方が違うんだと思うんですが、ついつい「痔だよ」と軽く考えてしまうんですね。私の場合、そんな症状もなくて、もし耳鼻科の先生が見つけてくれなかったらもう死んでいたかなと。痔なのか、がんなのか、もっと検査の精度が上がればいいなと思います。痔だから大丈夫とか、恥ずかしいとか、自分に都合のいい判断をして、病院に行くのをためらってしまいます。

山田 私も痛みもかゆみもなく、最初は痔だと思っていました。

荒居 うちは父親がずっと長年痔で苦しんでいて、その痛さを聞いていたので、「こういう痛くない痔もあるんだな」と思ってました。ただ、血は出るなぁ……と思って。会社の健診でも痔だと言われましたけれども、担ぎ込まれた際も痔だと言われて、痔で貧血になることもあるのかなと思い、がんの自覚はなかった。

山田 私は便の潜血検査も、たまに受けていたんですよ。ちょっと血が出ているかなというぐらいで、切れ痔で血が便について、それが混ざったのかなと思っていました。

――便潜血検査で陽性の場合、大腸内視鏡で詳しく調べることが大事ですね。荒居さんは下血が続いて、さすがに異常だと思いましたか。

荒居 どうやら痔じゃないというのは感じました。もしかしたら何か大変なことが起きているんじゃないか、というような気持ちはありました。

診断時「何で私が?」と信じられず 医師の話も耳に入らず

――がん診断時の気持ちを聞かせてください。

清水 「何で私が?」という、信じられない気持ちですね。切り傷があって血が出ていれば、けがだとわかるんですけれども、写真を見せられてもわからない。「こうなんです」と真っ黒な画像の写真を見ても実感はありません。まず最初に思ったのは、「何で、どうして私が?」という、テレビドラマみたいですけれども、もうそれしか考えられなかった。あとは医師の話の中身が右の耳から左の耳に抜けていました。

――治療はスムーズに進んだのですか。

清水 病院の科と科の連携がスムーズで「ここなら任せられる」という気持ちがありました。例えば消化器内科での診察が終わると、「僕はここまでです。次に消化器外科へ」と診療にスピード感があり、安心できました。

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男性の3人に2人、女性の2人に1人が、がんになる時代です。このコーナーでは、がん種別に患者や経験者を招き、病との向き合い方を話し合います。
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1件 のコメント

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知りたい人には知ってほしい画像診断の裏表

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

実の親(非医師)から「信頼のおける医師とは」とかよく説教メールが来ます。 勿論、親族やその知人の癌でもわざわざ存在を知らせたうえで相談はしません...

実の親(非医師)から「信頼のおける医師とは」とかよく説教メールが来ます。
勿論、親族やその知人の癌でもわざわざ存在を知らせたうえで相談はしません。

彼らは学会や研究会で有名な診断医や指導医、教授とも真面目に議論し、意外とみんな気づかない病変や読み筋を拾う僕を知らないので、肩書でしか判断できません。
とはいえ、これが一般的な社会的評価です。
「専門医や博士号は指標であって絶対ではない。偉い人にはそれがわからんのですよ」とかツッコみたくもなりますが、肩書がないだけに信じてくれる人のためにも標準医療や先進医療の裏表も含めて勉強しています。

さて、今回の話の中で目につくのは社会制度のルーチンで発見されなかった癌の事です。
今の標準であるバリウムや内視鏡の検査は消化管外の検出が弱く、胸部レントゲンやマンモグラフィはCTやMRIなどの3次元の画像に比べれば、やはり病変の検出が難しい。
PET-CTも、CTやMRIをゆっくり読めば発見できる多くの病変に関していえば、無用なコストと被ばくですが、読影医不足と過重労働の現実の中で、微細な病変を多くの医師が発見しやすい利点があります。
そして、本文でもありますが、転移巣や転移リンパ節の方が発見しやすい症例も時々目にします。
偉そうに書いてますが、僕が見落としをしないわけではなく、見落としをする自分や機械の弱点を知って対策を持っているだけの事です。
健診でも50歳以上の方や有症状の方の高度検査を推奨しています。

今回はがんがテーマですが、癌だけでなく、よくある疾患の典型的なケースの処理ミスで保険診療による寿命や健康寿命の延長、緩和治療の恩恵を受けられないのはもったいないです。
自分だけは大丈夫、うちの地域は大丈夫、そういう気持ちももちろん大切ですが、一方で、検査の性質や自分も他人もミスを犯し得る存在と知ることがより良い医療を受けるコツです。

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