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大人の健康を考える「大人び」

コラム

認知症予防(8) 受診の誘い 間接的に

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  このシリーズでは、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大教授に聞きます。(聞き手・諏訪智史)

認知症予防(8) 受診の誘い 間接的に

 認知症の進行を遅らせるには、なるべく早めに病院に行き、適切な治療やケアを受けることが大切です。その際は家族が付き添うようにしましょう。専門医が知りたい普段の様子を、本人が客観的に伝えるのは難しいからです。

 「自分のことは自分でできているので大丈夫」と話した一人暮らしのお年寄りを検査したところ、認知症だったケースがありました。このお年寄りは、料理ができなくなり、食事が十分に取れなくなった結果、体重が減っていることを自分では認識できていませんでした。本人の申告だけで適切な診断を下すのは難しいのです。

 ただ、家族が受診を勧めても本人が嫌がるケースも多くみられます。強引に病院に連れて行こうとするのは禁物です。かたくなに受診を拒否するようになってしまうからです。

 ポイントは、本人の気持ちを理解することです。もし認知症の自覚がない人が「あなたは認知症かもしれないから、病院に行きましょう」とストレートに言われたら、どう思うでしょう。「病人扱いするな」と怒るのも当然です。

 私が勧めるのは、本人のプライドを傷つけないため、「直球」ではなく「変化球」で病院に誘う方法です。本人に持病があれば、「経過を診てもらいに行きましょう」と促したり、「私の診察に付き添って」と同行をお願いしたりするのも効果的です。

 専門医にあらかじめ事情を伝えておけば、家族を診察するふりをして本人の様子を診ることもできます。当事者の気持ちに配慮しながら、まずは病院に行くきっかけをつくるのが大切なのです。

【略歴】

浦上 克哉(うらかみ かつや)

1983年、鳥取大学医学部卒。同大学助手、講師を経て、2001年から教授。大学病院などに「もの忘れ外来」を設け、認知症の早期発見と予防に取り組む。日本認知症予防学会理事長。著書に「認知症&もの忘れはこれで9割防げる!」(三笠書房)などがある。

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