文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

[最終回]体臭で悩む若者へ 「想像力療法」で新しい自分と出会おう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

自己誘導的に悪く考え

 他人の心を正しく推察するときに絶対に必要なものは、「想像力」です。正しく想像する力がなければ、そのような推察はあくまで「憶測」であり、現実性の乏しい「予感」にすぎません。想像力とは「空想力」とも異なります。よく言うでしょう。「あの人とは馬が合わない」「虫が好かない」と。でもそれは違います。合わないのは、「あの人の馬」でなく「あなたの馬」のほうなのです。好かないのは虫ではなく、あなたの心なのです。

 「他人がせき込んだ」のが気になるのは、あなたの心が、他人のせき込みを「予感」していたからです。自分の体臭のために「他人が避けた」と思うのは、あなたの心がそれを「空想」するからです。賭け事でも「予想」はハズレますが、「予感」は不思議と当たるもの。予感が的中するのは当たり前です。なぜなら、あなたの「予感」や「空想」は、すべて自分の心の世界に属することだからです。自分の立場から見た自分の状況を、自己誘導的に他人の行動と結びつけているのです。

「自分の世界」から抜け出そう!

 この対極にあるのは、「相手の立場」を考え、「相手の気持ち」を推し量る「共感」の心です。強い言葉で言わせてもらいますが、自己臭傾向の人に最も求められるのは、この「共感の心」なのです。自己臭妄想とは、自分と他人とを関連させることを特徴としていますが、実は、相手の心との結びつきはありません。共感する対象がないのです。正しく想像力を働かせるためには、その前提として「共感力」が必要です。

 共感力を身に付けるには、まず自分の世界からいったん離れ、相手の世界から自分を見つめざるを得ない状況に、自分の身を置くことです。こちら側にいて自分と他人とを関係づけるのではなく、他人の中に入って行って自分らしさを知ることです。実際に、災害の被災地でボランティアをして汗をかいたり、海外を一人旅して、現地の人と触れ合ったりしたら、体臭の悩みが解消された人もいます。自分の匂いと他人の匂いが重なり、溶け合う環境に身を置いて、生の人間関係を実感してください。

 思いやりは他人がいてこそ可能です。一人ではなく人の輪。そこが「やさしさ」や「責任感」というあなたの長所を存分に発揮できる居場所なのです。

 「想像力」は、他人の心を推察する力にとどまりません。さまざまな人間関係の中で、「本当の自分」を想像することができたなら、他人だけでなく自分自身にも共感することができ、自分の体臭も受容できるようになるでしょう。その時、あなたにはもう「体臭の悩み」はないはずです。(五味常明 五味クリニック院長)

 五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」は今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

gomi-200px

五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」の一覧を見る

最新記事