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「朝食は学校で」児童の遅刻減少、集中力アップ…住民・企業が協力し広がり

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「朝食は学校で」児童の遅刻減少、集中力アップ…住民・企業が協力し広がり

子供たちの朝食を準備する表西さん(奥)ら(大阪市東淀川区の市立西淡路小学校で)=北瀬太一撮影

 1日の始まりに朝食をしっかりとって生活リズムを整えさせようと、小・中学校で子供たちに朝ごはんを提供する活動が広がっている。登校してから食べるため、利用しやすく、遅刻が減るなど効果もあるという。

 大阪市東淀川区の市立西淡路小学校で毎週月、水、金曜日の朝、家庭科室に「朝ごはんやさん」が“開店”する。10月のある日のメニューは野菜いため、きつねうどん、バナナとパウンドケーキ。午前7時を過ぎると子供たちが、それぞれに食事をして教室へ移動した。この日は30人が利用。5年の女子児童(11)は「温かくておいしい。いつも楽しみ」と顔をほころばせた。

 長年、民生・児童委員と保護司を務めている 表西おもにし 弘子さん(72)らが、家庭の事情で朝食をとれない子のためにと家庭科室を借りて、2016年11月に始めた。早朝から働きに行く親が「作り置きよりは温かいものを」と利用させる例もあるという。表西さんは「友達とおなかいっぱい食べて元気に1日を過ごしてほしい」と話す。

 事前に利用希望者を募り、調理は表西さんら60~80歳代のボランティア11人が交代で担う。1食の費用は200円ほど。自己負担は50円で残りは市の補助金で賄っている。

 利用する子は遅刻が減り、授業に集中できるようになったといい、福永雅士校長は「おなかと心が満たされて子供の表情が明るくなる」と語る。

 文部科学省の全国学力・学習状況調査(2018年度)では、朝食を毎日食べる小学6年生は84・8%、中学3年生は79・7%で13年度と比べて、小6で3・8ポイント、中学生で4・6ポイント下がるなど、低下傾向が続く。一方で、朝食をとる子は平均正答率が高く、大切さが再認識されている。

 広島県は地元の企業に食品を提供してもらい、小学校で希望する子に朝食を配るモデル事業を今年度中に始める。県の担当者は「『朝食を提供したい』と考える学校はあるが県内に前例がなく、学校だけではなかなか始められない。県が主導することで徐々に広げたい」と期待する。

 福岡市では小中学校9校で、生協やフードバンクから提供されたパンとバナナ、牛乳などを希望する子に配っている。15年度に1校が始め、徐々に増えた。高知市や東京都足立区でも、毎月1回、2回など定期的に、住民らが朝食を提供している小学校がある。

          ◇

  大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)の話 「毎日ではなくても、朝食を食べることで生活習慣を改善するきっかけになる。現状では住民の善意で成り立っている面が強いが、家庭と自治体、学校を巻き込み、持続可能な仕組みを作る必要がある」

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