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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

痛みや光過敏……感覚異常の無理解は社会の損失助長

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眼科で測定する視力 その人の見え方を表してはいない

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 眼科で測定する視力が、その人の見え方を表わしているというのは、明らかに間違いだということは以前にも説明しました(2015年7月30日の コラム 参照)。でも一般人だけでなく、医者でさえもその間違いを犯してしまいがちです。

 Kさんの目の状況が周囲に理解されないのは、視力が良いことに加えて、「我慢すれば使える」からです。目を開けて見たり読んだりしている姿を見れば、人はそれが苦もなくしていることだと錯覚し、苦行を強いられているとは思いもよりません。

 そうした無理解や、救済しようとしない社会は、Kさんのような意欲のある方が能力を発揮して社会に復帰する機会を奪っています。つまり、社会の損失を助長しているともいえるのです。

 言葉は空虚にして、泡のごとく消えてしまう運命にあるかもしれません。でも、せっかく我々は言語という表現手段を持っているのですから、医療や福祉でも、数値などの見える指標には限界があることを認め、言葉でしか表現できないものへの配意が制度上も必要だろうと思います。(若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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