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[介護のいろは](11)認知症カフェ どんな場所?

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  認知症の人や家族、地域住民らが集まり、交流する場として、「認知症カフェ」が各地に広がっています。堅苦しさはなく、おしゃべりや相談を通じて悩みの解消につながったり、歌や体操を楽しんだり。気軽に足を運べるのが魅力のようです。(辻阪光平)

気軽に交流 理解の場にも

■みんなで楽しく

 

[介護のいろは](11)認知症カフェ どんな場所?

エプロン姿のスタッフとともに、輪になって軽い体操を楽しむ「なかよしクラブ」の参加者(大阪府茨木市で)

 「人生100年時代です。体操の最後に、みんなで『私は若い』と言いますよ」。スタッフの呼びかけに、輪になった参加者から笑いが起きた。

 大阪府茨木市の会館で月2回開かれる認知症カフェ「なかよしクラブ」。地域の住民団体が2017年から、市の委託を受けて運営している。

 参加費100円で飲み物と菓子がつく。この日はスタッフを含む約20人が参加。1時間半の活動中、自由に語らい、歌を口ずさみ、「席」の字がつく単語をいくつ書けるかを競うゲームで盛り上がった。

 「ここでは自己紹介がいらず、認知症かどうかも関係なく、みんなで楽しめるのがいい」。穏やかな笑みを浮かべる認知症の夫(83)とともに、開設当初から参加を続ける女性(78)はそう話す。

 夫が夜中に家から出歩くようになったと悩みを漏らした時には、スタッフが全地球測位システム(GPS)で居場所がわかる見守りグッズの情報を教えてくれた。「私が認知症になっても、きっとここにいる誰かに助けてもらえるはず」と笑った。

 同クラブ代表の栗見正義さん(74)は「話し相手が認知症だと気づかないまま、交流して帰る人もいる。楽しいひとときを過ごすことで参加者全員の健康増進につなげたい」と話す。

■自治体HPに情報

 

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 認知症カフェは、本人や家族の孤立を防ぎ、地域全体で認知症への理解を深めるのが狙い。明確な基準はなく、運営主体も市町村や介護サービス事業所、NPO法人など様々だ。認知症介護研究・研修仙台センターの16年度の調査では、月1回の開催が約8割を占め、参加費は100~200円が一般的。認知症かどうかを問わないケースが大半だが、認知症の人と家族に限定しているところもあった。

 厚生労働省は20年度までに全市町村への普及を目指しており、17年度の設置数は全国で5863か所。活動内容は多彩で、茨木市相談支援課の松田詠理香さんは「介護職員や保健師などの専門職が定期的に介護の悩みや健康面の相談に応じたり、消費者トラブルに関する講演やハンドマッサージを催したり。ただ会話を楽しむだけのところもある」という。

 名称に「認知症」の言葉を含まないところも多く、所在や連絡先が分かりにくい。茨木市をはじめ、一部の自治体では、市のホームページなどで情報を載せているので、参考にしたい。最寄りの地域包括支援センターに尋ねるのもいい。松田さんは「気楽に足を運び、自分に合うカフェを見つけてください」と話している。

[専門家に聞く]若年性 運営参加もお薦め

 

  認知症になるのは高齢者だけではない。働き盛りで発症する「若年性認知症」について、大阪市のNPO法人「認知症の人とみんなのサポートセンター」代表の沖田裕子さんに聞いた。

 

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 若年性認知症は65歳未満で発症する場合を指します。脳の病気や頭部外傷など原因は様々で、国の研究では平均発症年齢は51・3歳。離職を余儀なくされ、経済的に困窮する人もいます。日常的な支援や交流の場が少ないのも課題です。

 「仕事や家事の段取りが悪くなった」「物忘れが増えた」「会話がうまくできない」などの変化が表れ、それが続くようなら発症の可能性があります。

 うつ病や更年期障害を疑って心療内科や婦人科を受診し、結果的に診断が遅れる例も見られます。気がかりな人は若年性認知症コールセンター(0800・100・2707)や全都道府県にある相談窓口に連絡しましょう。私たちのセンターは大阪府の相談業務を受託し、症状を聞いて病院やサービスにつなげるなど、生活や就労を支えています。

 認知症の進行予防には、家族以外の人との交流が有効です。若年性に特化した認知症カフェはほとんどありませんが、症状が軽い間は「自分にできることはないか」と申し出て、運営を手伝う形で参加する方法もあります。

<疑問や思い 募集します>
 「介護のいろは」は毎月1回の掲載です。介護に関する疑問や今後読みたいテーマ、介護に抱く思いも募集しています。〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部「介護のいろは」係へ。ファクス(06・6365・7521)、メール(seikatsu@yomiuri.com)でも受け付けます。

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