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COPDとつきあう(3)地元病院と専門医 連携

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COPDとつきあう(3)地元病院と専門医 連携

「朝も晩も田んぼに出てたけど、つらい思いはなかったな」と、過去を懐かしむ飯森さん

 稲刈りを終えた田に、規則正しく稲株が並ぶ。

 「この辺りの田んぼは全部、おやじと俺が切り開いたんだ」

 長野県大町市の飯森武さん(79)は自宅の周りに広がる1・8ヘクタールの田畑を指さした。

 「でも人に手入れを頼むようになって6、7年たつかな。息が上がって、もう自分ではできないな」

 朝鮮半島で終戦を迎えた。父親の実家近くに引き揚げ、荒れたこの地を2人で開拓した。「白いご飯を食べたい一心だった」。初めて収穫できた日を思い返すと、今でも笑みがこぼれる。

 若い頃は工事現場を渡り歩いた。自宅から近い黒部ダムの建設や北陸地方のトンネル工事、伊勢湾台風の災害復旧にも赴いた。

 地元の建設会社に勤めてからは、仕事の前後に田んぼに出た。40歳で始めたソフトボールは30年間楽しみ、45歳で始めたゴルフは今も続けている。ただ、70歳を迎えた頃、体を動かすと息苦しさを感じ始めた。慢性 閉塞へいそく 性肺疾患(COPD)だった。

 専門医がいる40キロ離れた松本協立病院(長野県松本市)に通い始めた。車で1時間はかかる距離。松本への通院は状態が悪い時に絞り、ふだんは地元の病院にかかるのが望ましい。複数の医療機関が連携する必要があるが、松本の主治医、江田清一郎さんは今夏、その難しさを思い知った。

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