いきいき快適生活
介護・シニア
「筋活」で「ロコモ」防ごう…手足におもりを巻き 百歳体操
仲間と楽しく 冬は気温差に注意
加齢に伴い筋肉などが衰えて、歩いたり家事をしたりしづらくなる「ロコモ」(ロコモティブシンドローム=運動器症候群)。安全に筋肉を鍛えてロコモになるのを防ぐ「ロコモ予防体操」が注目されている。無理せず行うことが肝心で、寒い季節は気温差への注意も必要だ。
屋内で取り組める介護予防運動として全国で広がるのが、2002年に高知市が開発した「いきいき百歳体操」だ。手首や足首におもりの入ったベルトを巻き、椅子に座って行う。ゆっくりとひざを伸ばしたり、腕を横に肩の高さまで上げたりする。
物を持ち上げたりベッドから起きあがったりするのに必要な筋力が鍛えられる。運動機能が向上し、バランス能力も高まるため、転倒などによるケガを防ぐことができる。
65歳以上の高齢者が約70万人いる大阪市は、百歳体操の普及を進めている。吉本興業と百歳体操のDVDを共同制作し、5月には地域の高齢者グループへの貸し出しを始めた。

大阪市と吉本興業が共同制作したDVDを見ながら百歳体操に取り組む高齢者(大阪市提供)
DVDには、吉本新喜劇のメンバー9人が出演。コントを交えながら、運動法をわかりやすく紹介している。「要支援状態の後期高齢者も参加しています。楽しく運動に取り組めると好評です」と担当者。市のウェブサイトでも動画を見ることができる。
健康運動指導士として、高齢者の健康づくりを支援する東北福祉大特任准教授の鈴木玲子さんは「冬に家にこもって体を動かさない状態が続くと、心身の機能が低下する『生活不活発病』に陥りやすい。健康寿命を延ばすためにも、腕や足腰などの筋肉を継続して鍛える『筋活』が重要」と指摘する。
鈴木さんが仙台市などで開くダンベル体操やロコモ体操の教室が、地域の高齢者に好評だ。ダンベル体操は、緩いテンポの音楽を流し、200グラム~2キロのダンベルを握りながら、腕の押し上げや上体ひねりなど約20種類の運動を行う。握るものは木綿の袋に300グラム程度の玄米を入れた「玄米ダンベル」でも代用できる。ロコモ体操は、オリジナル曲を歌いながらリズミカルに片脚立ちやスクワットなどを行う。いずれも1日15分程度。仲間と取り組むと続けやすいという。
冬場は運動時の注意点もある。「Dr.KAKUKOスポーツクリニック」(東京)の中村格子院長によると、寒い場所で急な運動をすると、血管が収縮して血圧が上がり、心臓や脳に負担がかかる。心筋 梗塞 や脳卒中などを引き起こすおそれもある。ストレッチや準備運動を入念に行い、体を温めて筋肉の緊張をほぐそう。
屋内であっても気温差に注意したい。暖かい部屋で運動してから、寒い廊下やトイレなどに行く際は、上着などの防寒着を羽織って急に体を冷やさないようにする。汗をかいたらこまめに拭き取り、水分補給を心がける。中村院長は「無理に頑張りすぎないこと。かかりつけ医や保健師などに相談し、適度な運動に取り組んで」と呼びかける。
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