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依存症と家族(上)「代わりに対処」やめよう

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依存症と家族(上)「代わりに対処」やめよう

ギャンブル依存症の息子に悩む女性(手前)と面談する荒木さん

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 アルコールやギャンブル、ゲームなどの依存症は、本人だけでなく周りの人も苦しめる。治療につなげるために、身近な家族が取り組む「CRAFT(クラフト)」というプログラムが注目されている。

 「息子の借金を肩代わりしてしまいました」

 依存症患者の支援施設「ジャパンマック福岡」(福岡市)の一室で、長男がギャンブル依存症だという50歳代の女性が打ち明けた。長男の通帳を預かって金銭管理をしていたが、本人が隠れてクレジットカード会社から借り入れ、借金が膨らんでしまったという。

 「駄目な母親ですよね」と話す女性に向き合い、「自分を責めないでください」と語りかけるのは、同施設のスタッフで社会福祉士の荒木弘幸さん(62)だ。「家族の愛情は本人が回復に向かうために必要なこと。思いが伝わるように、手だてを考えることが大切です」と励ました。

 同施設では2015年から、米国で開発された家族向けのプログラム「CRAFT」を導入し、月1回の家族教室を行っている。適切なコミュニケーション法を学び、本人と対立せずに言うべきことを言える関係を構築し、最終的に治療を勧めることを目的とする。

 まず知ってもらうのが、「イネイブリング」という言葉だ。「借金を肩代わりする」「欠勤・欠席の連絡をしてやる」など、代わりに事態を収拾する行動のことを指す。「本人を思っての行動なのですが、逆に本人が問題と向き合う機会を奪うことになる。依存を助長し、家族自身も消耗する悪循環に陥ってしまいます」と荒木さんは説明する。

 例えば、泥酔して玄関先で寝たらその場で寝せるなど、基本的には本人に責任を取らせる。また、責めたり説教したりせず、「あなたが飲んで帰ってくるのは悲しい」など自分の感情のみを伝えるようにする。

 同施設ではこれまで延べ80人が参加し、把握しているだけで30人ほどが治療につながったそうだ。荒木さんは「長い目で見れば本人が問題と向き合う機会を作ることにつながり、家族の心の負担も軽減されます」と話す。家族教室などの問い合わせは同施設(092・292・0182)へ。

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