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赤ちゃんは善人の不公平さに敏感

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赤ちゃんは善人の不公平さに敏感

 1つしかないおやつを2人の子どもに分ける時、お母さんはけんかにならないよう慎重に切り分けるに違いない。人はかなり早い時期から公平性に対して敏感であることが過去の研究から分かっており、生まれて間もない赤ちゃんでも、物を公平に分配されることを期待するという。このほど、京都大学などの研究グループは、14カ月児を対象に、こうした公平感が事前の振る舞いによって影響を受けるか否かを検討。その結果、赤ちゃんは、善良な行いをする人に対して物を公平に分配することを予期していることが示されたと報告した。詳細は、 Front Psychol(2018;9:1649) に掲載されている。

赤ちゃんの公平感には先行の善悪が影響

 近年の研究で、赤ちゃんは極めて早い時期から公平性に対して高い感受性を持つことが示されている。しかし、善悪の振る舞いと分配行動の関係については、これまで検討されていなかった。そこで研究グループは今回、限られた資源を分配する場面で、赤ちゃんが、善い行いをする人は公平に分配し、悪い行いをする人は不公平に分配すると思うか否かについて調べた。

 対象は14カ月児で、自分が予期しない現象を長く見続けるという赤ちゃんの傾向を利用して、その反応を確認した。まず対象児に、黄色の三角が丸い図形を助け、青の四角が丸い図形を邪魔する画像を見せた。その後、三角と四角がいちごを分配する場面を、次の4パターンで見せた。(1)善い人(黄色の三角)がいちごを公平に分配、(2)善い人が不公平に分配する、(3)悪い人(青の四角)が公平に分配する、(4)悪い人が不公平に分配する―。各パターンに対する注視時間(それぞれの場面を見る時間)を計測した。

 その結果、14カ月児は、善い人が不公平に分配した場合には、注視時間が長くなったが、悪い人が公平に分配しても不公平に分配しても、注視時間には差が見られなかった。どうやら赤ちゃんは、善い人に対しては公平に分配することを期待しているようだ。また、赤ちゃんは、分配は公平になされるべきだと考えていることが、これまでの研究で示されているが、悪い行いをする人に対しては、その期待が弱まることが分かった。

 今回の研究により、赤ちゃんの公平感に、先行する善悪の振る舞いが影響を与えることが分かった。研究グループは「赤ちゃんは向社会行動(他者の役に立とうとする行動)に対して、早い時期から理解を示している。今後は、赤ちゃんのその他の向社会行動についても調査したい」とコメントしている。(あなたの健康百科編集部)

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