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視覚障害者の登山、先導役不足…市民団体、新たな支援者募集

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 視覚障害者と一緒に登山やハイキングを楽しむ各地の市民グループが、先導役となるサポーターの不足に悩んでいる。山歩きブームを背景に、20~30年前に発足したが、会員の高齢化や趣味の多様化などで人が集まりにくくなっている。(板東玲子)

視覚障害者の登山、先導役不足…市民団体、新たな支援者募集

前を歩くサポーターのリュックに触れながら、慎重に川を渡る視覚障害者ら(山梨県内で、「六つ星山の会」提供)

 関東を中心に年30回ほどの山歩きを楽しむ「六つ星山の会」(東京)は、1982年に全盲の男性2人から「山登りをしてみたい」と「日本点字図書館」の職員に相談があったことから結成された。点字が六つの点でできていることが名前の由来。現在の会員は約210人で、うち3分の1が視覚障害者だ。

 登山経験のあるサポーターが前を行き、障害者はそのリュックに結ばれたロープを片手で持って、ストックで足元を探りながら歩く。後ろから別のサポーターが声を掛けて安全を確保する。

 3年前からは、障害者が中級レベルの山に登ることを目標に毎月、知識や技術の向上を図る講座「ステップアップ山行」も開催している。

 5年前に入会した埼玉県在住の全盲の女性(69)は、「山に行くと、鳥の声や小川の音など自然を満喫でき、達成感も味わえる」と、年8回ほど参加する。講座も受講して技術も上達したといい、「いつか2000メートル級に挑戦したい」と意気込む。

 課題は、サポーターの不足だ。現在は約140人いるが、日程や希望が合わないなどで視覚障害者の受け入れが出来ないこともあるという。同会総務部長の新海吉治さん(71)は「レベルアップを目指す障害者のためにも、多くの協力があるとありがたい」と話す。

 目が不自由でも山歩きを楽しめる団体は全国に15団体ほどある。1980年ごろからの山ブームを背景に結成された会が多く、どの団体も会員の高齢化が課題だ。さらに、クライミングやトレイルランなど、山の楽しみ方が多様化し、新たなサポーターが集まりにくくなっているという。

 近隣の山を中心に毎月、山歩きを楽しむ「こまくさハイキングクラブ」(岡山)は2000年に発足。多い時は80人だった会員が、今は視覚障害者16人を含む約50人だ。1999年発足の「富山三つ星山の会」(富山)では、サポーターの高齢化などから登山が難しくなり、ここ数年は遊歩道のある里山を中心に歩くほか、地元の社会福祉協議会の協力を得てボランティアを集めている。

 1990年から活動してきた「山口ささゆり会」(山口)の会長、開村修三さん(81)は「かつては難しい山に挑戦し、テントを張って炊飯もしたが、今はサポーターの中心が60~70代なので厳しい」と残念がる。しかし、毎月の山歩きを張り合いにしている障害者もいることから、「もっと頑張らねばと思う」と笑う。

 視覚障害者を受け入れている日本山岳会東海支部の前田隆久さんは、「日本の山は世界に誇れる財産。目が見える見えないに関係なく、共に登れば互いに学びがあり、刺激になる」と話している。

 問い合わせは、六つ星山の会の ホームページ へ。各地の団体の紹介も掲載している。

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