文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

安心の設計

医療・健康・介護のニュース・解説

国民年金保険料「追納」メリット…受給減回避、節税効果も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
国民年金保険料「追納」メリット…受給減回避、節税効果も

 経済的な理由で国民年金の保険料の支払いが難しい時は、「猶予」などの手続きを取ることができる。老後の受給額はそのまま保険料を納めなければ減ってしまうため、「追納」によって穴埋めを検討したい。メリットや注意点を専門家に聞いた。

 都内の会社員女性(28)は大学生の頃、国民年金の学生納付特例制度を申請し、保険料の納付を猶予されていた。猶予された期間は将来の年金額に反映されないと聞いたことを思い出し、特定社会保険労務士の三宅明彦さんに「今からでも払った方がいいですか」と相談した。

 三宅さんは「1年分を追納すれば将来の年金額が年約2万円増える計算です。節税効果もあります。二つのメリットを考えれば、余裕があるなら納めた方がいいと思います」と助言した。

 国民年金制度には、20歳以上60歳未満の人が全員加入する。加入期間は40年となる。

 保険料の支払いを猶予されると、期間1年につき、老後に受け取る年金は「満額」の40分の1減額されてしまう。物価水準などにより変動する「満額」は2018年度は77万9300円で、その40分の1は約1万9480円。これが、1年分の追納で増える年金額の目安だ。

id=20181025-027-OYTEI50005,rev=4,headline=false,link=false,float=right,lineFeed=true

 保険料を1年分追納するのに必要なお金は、どの年度分を追納するかによって異なるが、18万~20万円程度。追納の保険料負担と、追納によって増える毎年の年金額をてんびんにかけると、65歳の受給開始から10年超で、後者が上回る計算になる。

 三宅さんは「国民年金は終身年金で、生きている限り支給される。100歳まで生きると言われる時代、このメリットを享受できる人は多いはず」と指摘する。

 税制面でもメリットがある。国民年金の保険料は納めた全額が「社会保険料控除」として、所得税や住民税を計算する際の所得から差し引かれる。年末調整や確定申告で手続きをすれば、追納した年に納める所得税などの額を圧縮できる。

 例えば、年間の課税対象所得が300万円の会社員の場合、所得税の税率は10%で、一律10%の住民税もかかる。保険料20万円を追納したケースで考えると、所得から20万円が差し引かれるから、税額は計4万円下がる計算だ。所得税率は所得の水準によって変わるため、節税効果もそれに応じて変動する。

 三宅さんは「将来の年金額の増加と、節税効果をあわせて考えると、10年より短い期間で追納した保険料を『回収』できるとみることもできます」と話す。

 ただ、追納の場合、直近2年度分を除き、保険料に加算額が発生し、割高になる。例えば、10年度に猶予された保険料を18年度中に納める場合、当時より月420円加算され、1年分では5040円高くなっている。

  <学生納付特例制度>  大学や短大、高等専門学校など学生を幅広く対象とした猶予の制度。本人の前年の所得に一定の条件はあるが、親の所得に制限はなく、2017年度で176万人が利用している。学生を除く50歳未満が対象の「納付猶予」や、「免除」が適用された場合なども、追納することができる。

id=20181025-027-OYTEI50004,rev=4,headline=false,link=false,float=left,lineFeed=true

  [アドバイザー]三宅明彦さん

 特定社会保険労務士、年金コンサルタント。金融機関の年金セミナーや、年金相談員向け研修の講師などを数多く務める。著書に「相談員必携!年金制度・年金改革総まとめ」、共著に「年金・医療保険・介護保険のしくみがわかる本」。

遡れるのは10年前まで

 追納をするには、年金事務所での手続きが必要になる。猶予された期間が、複数の年度にわたっている場合、より古い期間から納めることになる点も押さえておきたい。

 注意が必要なのは、追納できるのは、10年前の保険料までとなっている点だ。例えば、2018年11月中なら、08年11月分までさかのぼって納められる。三宅さんは「20歳の時に猶予された分は、30歳頃までに追納する必要があるということ。仕事で忙しいと、つい忘れがちなので、注意してほしい」と話す。

 猶予などの手続きを取らずに毎月の保険料を納めていない場合は、「未納」の扱いとなり、直近の2年分しかさかのぼって納めることができない。後で納められる余裕ができても、将来の年金額を増やすことができない事態を招くことになる。

 (滝沢康弘)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

安心の設計の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事