文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

医学部「地域枠」、入試段階で「一般枠」と別枠に…厚労省が大学に要請へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 地方の医師確保を目的に、大学医学部の定員増を認める「地域枠」が、一部で「一般枠」扱いになっていた問題で、厚生労働省は24日、入試の段階で一般枠と分ける「別枠方式」でなければ認めないことを決めた。今後、実施時期を検討し、各大学に要請する。同日開かれた有識者会議で了承された。

 国は医学部定員の抑制策を閣議決定しているが医師不足が深刻な地域もあるため、臨時措置として2008年度から原則、地域枠に限り定員増を認めている。

 定員増の対象になるのは、地域で一定期間、勤務することを条件に奨学金を貸与する地域枠。厚労省が地域枠の実態を調べたところ、08~18年度の11年間で、定員の1割を超える800人余が埋まらず、その分、一般枠の学生が増えていた。

 調査で、定員が埋まりにくいのは、入試の段階では一般枠と区別せずに選抜し、入学後に地域枠の希望者を募る「手挙げ方式」と判明。厚労省と文部科学省は、これまで各大学に任されていた募集方法を別枠方式に統一すべきだと判断した。

【解説】地域枠の厳格運用だけでなく…魅力ある教育の充実を

 医師不足対策の切り札として設けられた地域枠の一部が、実際には機能していなかったことがわかった。定員が埋まりにくい「手挙げ方式」を大学が採用するのは、高い学力の学生を確保したいためだ。ただ、それでは、必ずしも地域医療に貢献する意志のある学生が集まるとは限らない。

 手挙げ方式を採用し、地域枠の欠員が多かった大学の中には、地域医療より研究に重点を置いている主要大学もある。希望者が集まらないなら、そもそも定員を増やす必要があったのか。ほかにもっと増やすべき大学はなかったのか。

 この地域枠の仕組みが始まって10年以上になるが、医師が都市部に集中する「医師偏在」は解消していない。地域枠で学びながら、都市部に流れる医師がいることも問題になっている。

 地域枠の厳格運用だけでなく、地域に関心を持つ受験生にとって魅力があり、しかも、実際に選択した場合に満足できる教育の充実も不可欠だ。学生や大学にとっても、よりよい仕組みづくりが求められている。

(医療部 加納昭彦)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事