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街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー

コラム

下り段差で前向きは危険! 駅のホームではブレーキを…車いすの人を安全にお手伝いするには?

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 ヨミドクターをご覧のみなさま。サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。今回は街中などで、車いすを使っている方をお手伝いする方法についてお話しします。

ニーズは様々 まずは本人の意向を

 一概に車いす使用者といっても、様々な方がいらっしゃいます。下肢の障害により歩行が困難な人、高齢により長い距離を歩くのが難しい人、一時的にけがをしている人などです。車いすを使うことになった原因により、できること、できないことが異なります。立ち上がったり、歩いたりできる人もいれば、難しい人もいます。経験や能力により、使っている車いすの種類も異なりますし、外出時に介助者や介助犬の支援が必要な人もいます。

 ですので、街中で困ることについても、人によって様々です。段差や溝を越える、スロープで押す、ドアを開ける、荷物を持つなど、その時の状況で、必要なお手伝いも違ってきます。初対面の場合は、「何かお手伝いすることはありますか」などと、本人に声をかけて確認しましょう。

多くのホームには傾斜が…手を離すときに注意

 まず、基本的な介助方法について、ご説明しましょう。ポイントはブレーキ、足台、声かけの3点です。

(1)ブレーキ 交差点での信号待ちや駅で電車を待っている時など、少しの間、止まっているときにも、車いすは大車輪の両横にあるブレーキを必ずかけます。道路や駅のホームは、排水の関係で傾斜がついている場合がほとんどで、ブレーキをかけないと危険だからです。車いすから手を離す可能性がある時は、しっかりと両側のブレーキをかけましょう。

(2)足台 足が足台の上にあることを確認してから、車いすを押してください。車いすを使っている人が、足を足台に置いていない状態のまま動かすと、車いすの下に巻き込まれ、けがにつながることがあります。

(3)声かけ 車いすを押す際は、動作のたびに声かけを心がけましょう。後ろからお手伝いをするわけですから、「右に曲がります」などと動作の前に声かけをすると、車いすを使っている人にとっては安心です。

話すときは、できるだけ目線の高さを合わせましょう

 また、あいさつや説明をするときには、なるべく車いすを使用する人と自分の目線を合わせましょう。立ったままの状態でのコミュニケーションだと、圧迫感を与えることもありますし、障害によっては、上を向くことが難しい人もいます。

下り坂は一定の速度で

 次に、状況に応じたお手伝い方法です。

(1)段差の上り方  車いすは、たとえ1センチメートルの段差でも、キャスター(小車輪)が引っかかって乗り上げられないことがあります。そのときは、両側の大車輪の間にあるティッピングレバー(ステッピングバー)を踏み込んで、ハンドルを手前に引くことにより、 「てこの原理」を利用してキャスターを持ち上げ、段差を上ります。その後、大車輪を段差に載せますが、この時、ハンドルを持ち上げるように動かすと、回転するキャスターだけの接地となって、車いすが不安定になってしまいます。持ち上げるのではなく、前に押し付けるように力を加えて進むと、安全に段差を上ることができます。

キャスターが引っかかる場合は、ティッピングレバーを踏み込み、てこの原理で持ち上げます

(2)段差の下り方 前向きに下りようとすると、車いすが前方へ傾き、乗っている人が転落する危険があります。基本的には下りる前に車いすを回転させ、後ろ向きに下ります。

(3)スロープの操作方法 上りは前向き、下りは後ろ向きで進むのが基本です。ただ、下りでも、アームレスト(肘掛け)をしっかりつかむことができるなど、前方へ転倒する恐れがない人であれば、ご本人が前向きを希望することもあります。相談しながら進めてください。数メートルもある上りでは、スロープの途中で止まると再び動かすのが大変ですので、一気に上るようにします。上るのが大変そうな坂道なら、無理をせず他の道を選ぶことも検討しましょう。下るときは、速度が変わると乗っている人が不安になりますので、なるべく同じ速度を保ちます。

坂の途中で止まると、再度動かすのが大変になります。できるだけ一気に上がるのがコツです

大事なのはコミュニケーション

 今回は安全面を考慮したうえでの、基本的なお手伝い方法をお伝えしました。実際に車いすを使っている方が困っているのを見かけた際には、どのようにしてほしいのかを確認し、コミュニケーションを取りながらお手伝いしてくださいね。(冨樫正義 サービス介助士インストラクター)

 このコラムではサービス介助士の学びから高齢な方や障害のある方のお手伝い方法をお伝えする他、認知症や災害時のお手伝い方法など、これからの生活で身につけていただきたいことをご紹介していきます。

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冨樫正義(とがし・まさよし)

 1973年、埼玉県生まれ。桜美林大学大学院卒(老年学研究科修士号)。日本サッカー協会 施設委員。法律事務所、不動産関係会社、人事コンサルタント、専門学校講師を経て、現在、サービス介助士、防災介助士、認知症介助士などを認定・運営する団体「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」(0120‐0610‐64)のインストラクターとして、年間50社以上の企業対象研修を担当するほか、企業のバリアフリー・ユニバーサルデザインのコンサルティングも行う。

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