子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
不慮の事故(12) ミニトマト4分割 詰まり防ぐ
不慮の事故では、小児科医で緑園こどもクリニック(横浜市)院長の山中龍宏さんに聞きます。(聞き手・萩原隆史)
スーパーボールは年中、大量に出回っているため、子どもの窒息事故のリスクは常にあるといえます。けれど、世間ではあまり認知されていません。
理由は、毎年の死亡数などを示す事故統計がなく、どれほど危険なのかがわかりにくいためです。集計しようにも、事故の多くは発生日と死亡日が異なり、正確に拾い上げられません。
例えば、前回取り上げた事例では、スーパーボールを喉に詰まらせた3歳の男児が亡くなったのは半年後でした。このような場合、死亡診断書には直接の死因である「肺炎」と記載するのが一般的です。死につながった元々の原因が隠れてしまい、ニュースにもなりません。水面下では事故が絶えないのに、広く注意喚起される機会が少ないのはこのためです。
事故を防ぐには、子どもがのみ込めないよう欧州の玩具安全基準に倣って直径4・5センチ以上のサイズにするか、万一のみ込んでも呼吸できるよう通気孔を開けるかでしょう。かつてボールペンのキャップによる子どもの窒息事故が多発したため、今ではメーカーがキャップに通気孔などを設けています。
ところが、スーパーボールの場合はなかなか改良されないのが現状です。ほとんどが輸入品のため規制が難しく、規制の裏付けになるような事故統計もないからです。だからといって傍観しているわけにもいかず、実効的な対策が求められます。
同様に窒息のリスクが高いミニトマトや大粒のブドウなどの食品については、喉にちょうど詰まるサイズというのが一番の問題です。大人と違って、子どもは奥歯が生えそろっていないため、うまくかみつぶせません。半分に切っても子どもにはまだ大きいため、四つに分割することが推奨されます。
【略歴】
山中龍宏(やまなか・たつひろ)
1947年、広島市生まれ。小児科医。東京大医学部卒。子どもの事故防止に取り組むNPO法人「セーフ キッズ ジャパン」(東京)理事長。
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