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医学部「地域枠」800人、実際には勤務地制約ない「一般枠」扱いに

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医学部「地域枠」800人、実際には勤務地制約ない「一般枠」扱いに

 医師不足の地域での人材確保を目的とした大学医学部の「地域枠」で、過去11年間に800人以上の学生が、実際には勤務地に制約のない「一般枠」扱いになっていたことが、厚生労働省の調査で分かった。地域枠の定員の1割以上を占めており、厚労省と文部科学省は各大学に是正を求める方針を決めた。改善がなければ、地域枠として認めた定員増を取り消す。

 国は、医師数が過剰にならないよう医学部定員の抑制策を閣議決定している。だが、地域などによって医師数に偏りがあることが社会問題となり、臨時措置として2008年度から原則、地域枠に限って定員増を認めている。

 厚労省は、地域枠が対策として機能しているか把握するため、08~18年度の入学実態を調べた。すると、自治体からの奨学金の返済免除と引き換えに一定期間、地域医療への従事を義務づける地域枠で、11年間の合計定員6533人のうち844人が埋まらなかった。

 入学試験は、地域枠と一般枠を区別せずに一括選抜し、入学後に地域枠の希望者を募る「手挙げ方式」を採用する大学があったことが主な要因だ。採用する理由について関係者は「地域枠と一般枠とで入試を分けない方が同じ合格基準で入試ができ、高い学力の学生を確保できるため」とみる。

 入学試験の段階で地域枠と一般枠を分ける「別枠方式」であれば、地域医療に関心のある学生や地元出身者を集めやすい。だが、手挙げ方式だと、勤務地の希望や出身地と無関係に受験生が集まり、地域枠の充足が難しくなるとみられる。

 厚労省が行った調査では、別枠方式で充足できなかった定員は9%だったが、手挙げ方式では21%だった。

 手挙げ方式を採用するある国立大学は、18年度に地域枠として増員された定員15人に対して、希望者は3人だった。

 現在は、手挙げ方式にするか別枠方式にするかの判断は各大学に委ねられている。両省は各大学に対し、別枠方式に統一するよう求めることにしている。

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