文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

安心の設計

ニュース・解説

団地再生~高島平の取り組み~(上)気軽な居場所 高齢者に用意

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

医療・介護以外の相談可能

団地再生~高島平の取り組み~(上)気軽な居場所 高齢者に用意

手作りしたすごろくで遊ぶ団地住民たち。顔なじみに加え、この日、初めて参加したメンバーも(東京都板橋区の「高島平ココからステーション」で)

id=20181022-027-OYTEI50011,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 高度経済成長期、全国各地に建設された団地の衰退が言われて久しい。住民の高齢化などが共通課題だ。こうした中、団地再生に向けて、注目を集めているのが、東京都板橋区の高島平団地だ。現場を訪ね、2回にわたって取り組みの現状を探る。

 団地の1階部分で週3~4日オープンしている「高島平ココからステーション」。ソファやテーブルが並び、明るい雰囲気で、多くの住民らが、ふらりと顔を出す。

 独り暮らしする認知症の女性(83)もその一人。届いた郵便物の内容について聞いたり、思い出話をしにきたりするという。長年、夫と2人で暮らしてきたが昨秋、夫が急死。子どもはおらず、親族は離れて暮らしている。女性の自宅を同ステーションのスタッフが訪れ、信頼関係を築いたことで出向くようになった。スタッフは冷蔵庫に食べ物がなければ買い物を手伝うこともある。

 同ステーションは昨年オープンし、東京都健康長寿医療センターが運営している。認知症になっても暮らしやすい街の拠点づくりが目的で、団地を管理する都市再生機構(UR)と板橋区が設置に協力した。誰でも参加できる居場所だが、保健師らが常駐し、世間話をしながら、さりげなく相談にも乗っている。

 団地には、介護保険サービスの相談窓口になっている地域包括支援センターや、看護師らが医療の相談に乗ってくれる拠点もある。ただ、介護や医療を受ける状況ではないが、様々な不安を抱える人も少なくない。同ステーションは、こうした悩みに応え、制度の隙間を埋める居場所という位置づけだ。

 東京都健康長寿医療センターの小川まどか研究員は「何もなくても来られることが大事。気軽に相談もできる居場所があれば、家族がいない独り暮らしの高齢者も暮らしやすいはず」と語る。

 一方、人を呼び込むユニークな取り組みもある。

id=20181022-027-OYTEI50012,rev=2,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

高齢者が暮らしやすい街づくりへの取り組みが続く高島平団地(2日、本社ヘリから)=泉祥平撮影

 同団地内の1棟のうち、空き室42戸分を改修し、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ゆいま~る高島平」として再生させた。2014年12月に開設。隣の棟の1階に事務所があり、日中は、スタッフが常駐している。入居者は、生活相談ができる。運営するのは、株式会社「コミュニティネット」(東京)だ。42戸すべてに入居している。

 サ高住は、安否確認と生活相談の提供が前提で、実際、入居者は毎朝、小型の端末でスタッフに連絡し、安否確認してもらっている。万が一の場合は、警備会社のスタッフが駆けつける。

 独り暮らしする森良子さん(85)は「安心で、自由さもあるところがいい」と話す。入居者同士の交流もあり、趣味のお茶の集まりが楽しみだ。ハウス長の古川才乃さんは「普通の団地にあるからこそ抵抗なく入居しやすい。元気なうちから移り住み、ついの住み家にしてほしい」と話す。

  <高島平団地>  1972年に入居が始まった大規模団地で、「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた。計64棟約1万170戸が並ぶ。現在、一帯の高齢化率は約5割に上り、独居高齢者が目立つ。

人気誇った「団地」…高齢化と老朽化

 「団地」は、高度経済成長期に都市に集中した人口の受け皿を確保するため、全国各地に建設された。1955年に設立された日本住宅公団(現・UR)などが開発の主体を担い、計画的な街づくりを展開。地縁のない新しい住民たちによる新しいコミュニティーが築かれた。ダイニングキッチン付きの間取りは目新しく、憧れの的。団地で暮らす人たちは、「団地族」と呼ばれた。

 ただ、最近は、急激な高齢化の波が訪れている。古い間取りや建物をどうするかといった課題も出ている。

 こうした中、URは、団地に介護や医療、生活の拠点を作ることで再生を図ろうとしている。千葉県柏市の 豊四季台とよしきだい 団地では、東京大とUR、自治体などが連携し、在宅医療システムづくりを進める。愛知県 豊明とよあけ 市の団地でも、地元の大学と連携し、拠点作りが進む。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

安心の設計の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事