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Q 「長い老後」にどう対処?

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Q 「長い老後」にどう対処?

A 就労、社会活動で好循環

 あと何年くらい生きるかの目安になる平均余命(2017年)は、65歳の人の場合、女性が24.4年、男性は19.6年と、30年前と比べて大きく延びています。平均値ですから、これより長生きする人もたくさんいます。

  ■大きく延びた余命

 厚生労働省によると、100歳以上の高齢者は今年9月15日時点で6万9785人と、20年でほぼ7倍に増加。「老後」が長い時代になりました。こうした「長生き時代」は、高齢期もできるだけ働き続けることが、好循環のカギになるようです。

 厚労省が中高年を対象に行った調査では、1年前の時点で「就業していた人」は、「していなかった人」より、1年後の健康状態を改善・維持しやすい傾向がありました。また、内閣府の2014年の意識調査では、仕事をしている60歳以上の42%が、収入を伴う仕事を「働けるうちはいつまでも」続けたいと回答しています。

 健康をできるだけ維持して、就業意欲があるうちは働く。働くことによって、健康の維持や意欲的な生活の継続にもつながる。そのような理想的なサイクルが浮かびます。生きている間ずっと受け取れる公的年金も、長生きへの備えとなりますが、60歳代後半でも働いて収入を得られれば、受給開始を原則の65歳から繰り下げることで、月額をさらに増やすことも可能です。

  ■地域社会で生き生き

 ただし、就労していなければ好循環を得られないというわけではありません。第一生命経済研究所の北村安樹子・上席主任研究員は「社会性の維持が健康増進につながる。町内会の仕事やボランティア、趣味など主体的な活動も有効」と指摘します。

 収入を伴う仕事の場合と違い、金銭的な意味で「長生きリスク」の軽減にはなりませんが、地域社会で生き生きと活動することで健康状態を長く維持できれば、医療や介護の費用の節約などが期待できます。

 もちろん、健康で働き続けられる人ばかりではありません。高齢期も働くことが前提の社会になれば、困ってしまう人も多いでしょう。低年金で就労もできないなど、生活保護を受給する高齢者が増えています。こうした社会保障の安全網の役割もより重要になると言えそうです。

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