インプラント後、骨粗しょう症
20年以上前、5本の歯をインプラントにしました。その後、骨粗しょう症が分かり、昨年8月から骨を強くするビスホスホネート(BP)製剤の点滴を毎月しています。歯科医院で「手術するしかない」と言われました。どうしたらいいでしょう。(75歳女性)
感染症治療と衛生管理 壊死防ぐ
柴原孝彦 東京歯科大学水道橋病院口こう腔くう外科教授(東京都千代田区)
BPは、骨粗しょう症の薬としては有効な薬です。必ず起きるわけではありませんが、BPの服用をしているうちに、細菌の感染が起こると、 顎骨 の 壊死 や顎骨骨髄炎を起こすことがあります。
口の中では歯やインプラントが直接、顎の骨に埋まっています。そこに感染巣があれば、簡単に細菌が顎骨に及んでしまう可能性があります。
BPの量、その投与法や期間、そして患者さんの口腔内の衛生状態が、顎骨壊死に至る重要な因子となります。
インプラント周囲炎、歯周炎、虫歯が原因で歯根の先に感染巣ができる歯性感染症などの場合は適切に治療し、口腔内の衛生管理を行うことが重要です。
関連学会は、BPを服用する患者さんには、インプラントの治療は行わない方がいいという見解を出しています。質問者のように、先にインプラントを入れてしまってからBPを服用する場合には、注意が必要です。
歯性感染症の治療と口腔衛生の管理を十分に行えば、壊死は防げます。もう一度、顎骨の状態を調べた方がいいでしょう。専門病院の受診をお勧めします。