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腸炎ビブリオ食中毒…魚介に菌、室温で増殖 冷蔵庫管理や水洗い徹底を

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 激しい腹痛などを引き起こす腸炎ビブリオ食中毒。他の食中毒菌に比べて菌の増殖のスピードが速いのが特徴で、ひどい場合には死に至ることもあります。(松田俊輔)

なぜ起きる?

腸炎ビブリオ食中毒…魚介に菌、室温で増殖 冷蔵庫管理や水洗い徹底を

 腸炎ビブリオは、河口付近の海にすむ細菌の一種です。寒い間は水底の泥に身を潜めていますが、暖かくなると水中で活動し、魚や貝に付着します。

 食中毒は、室温放置など不適切な保存により大量の菌が増殖した魚介類を生で食べることで起こります。体内に取り込まれた菌は、胃から出る胃酸で一部は死にますが、小腸に達すると再び増殖し、発症に至ります。

どんな症状?

 発見のきっかけは、1950年に大阪で発生したシラス食中毒です。患者272人、死者20人という大きな事件でした。

 原因となる食べ物を口にしてから症状が出るまでの潜伏期間は通常11~18時間ですが、2~3時間で発症したとの報告もあります。

 主な症状は、腹痛と下痢です。特に、腹痛は耐え難いほどと言われます。発熱を伴うこともありますが、38度を超えることは多くありません。これらの症状は一両日中続くとされます。

どう治すの?

 菌が出す毒素には、不整脈や血圧低下を引き起こす作用もあります。免疫の低下した人や高齢者が発症すると、命を落とすケースもあります。食中毒と思って軽く見てはいけません。

 症状を和らげる対症療法が基本となります。整腸剤で腸の調子を整え、脱水症状を防ぐためしっかり水分補給も行ってください。ひどい下痢で水分が取れない場合は、病院で点滴をしてもらう方法もあります。

 一方で、腸の運動を抑えて下痢を止める薬は、体外への菌の排出を遅らせてしまいます。症状が強く出たり、長引いたりする恐れがあるため、使用は控えた方がいいでしょう。

どう防ぐ?

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 体調を崩した時に共通して言えることですが、ゆっくりと体を休め、消化の良い食事を取ってください。

 腸炎ビブリオは、増殖が速いことで知られ、20度以上で増殖が盛んになります。例えば、お店で魚を購入した後、室温で放置した場合、付着していた菌が増殖している可能性があります。

 一方で、10度以下では増殖が抑えられます。そのため食中毒を防ぐためには、魚介類は室温で保存せず、わずかな時間でも冷蔵庫などで低温管理することが大切です。

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 真水が苦手なので、魚介類を水道水できちんと洗うことも効果的です。また、加熱調理をすることにより、しっかりと菌をやっつけることができます。

 包丁やまな板などの調理器具を介して、他の食材に汚染が広がってしまうこともあります。魚や貝専用のものを準備するのが有効ですが、魚介類を扱った後、調理器具を洗剤でしっかり洗ってから次の食材に取りかかることも対策になります。

 菌が検出されるのは、アジやイワシなど近海でとれる魚や貝が多く、こうしたものを調理する際には特に注意してください。

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