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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

新聞紙で撃退!? 認知症介護の大敵「臭い」

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漫画・日野あかね

「あの臭い」について専門家に聞いてみた

 2月26日のコラムで、「父さんが認知症になったら、加齢臭が減った」と書かせていただきました。それに対して「それは加齢臭でなくミドル脂臭では?」というコメントを頂戴しました。

 初めて知った「ミドル脂臭」という言葉に、「それって、何?」「加齢臭と何が違うの?」「そもそも認知症との関係は?」など、次々と疑問が湧いてきました。わからないことは専門家に聞いてみよう!ということで、ヨミドクターで『五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」』を連載中の五味常明先生に加齢臭とミドル脂臭の違いや、認知症との関係について伺ってみました。

実はそれほど不快でない「加齢臭」

 五味先生によると、「そもそも加齢臭は、そんなに不快な臭いではない」のだそうです。確かに、「古本」や「ロウソク」の臭いに例えられることが多いと聞くと、それほど強烈ではないのかも……と思います。

 その臭いは40~50代から本格化するのですが、男性の場合、さらに年齢を重ねると男性ホルモンとともに減少していくといいます。

 一方、ミドル脂臭は、疲れなどで発生する乳酸と汗が、皮膚にいる細菌により分解されてできるジアセチルという物質が原因。これ自体も臭う上に、皮脂腺から出る臭いなど他の体臭をパワーアップさせる傾向もあり、それらの臭いが混じり合って強烈な臭気を放つのです。

 このミドル脂臭は年齢にかかわらず出ているのですが、疲れやストレスなどにより、原因物質の分泌がより促進されます。そのため、疲労やストレスを多く感じる30~40代で特に強くなりがちだということです。

やっぱり認知症になると消える!?

 五味先生は、「いずれにしても、認知症になることで加齢臭やミドル脂臭が減ったという論文をまだ見たことがありません」とおっしゃいます。しかし、「あくまで推測ですが」と断った上で、加齢臭やミドル脂臭などはストレスにより臭いが強くなる傾向があり、自分の臭いを気にしてさらにストレスがたまる悪循環に陥りがちだが、認知症になるとそうしたストレスが減り、加齢臭やミドル脂臭の原因成分の分泌も低下して臭いが少なくなる可能性がある――との見解を示してくださいました。

 五味先生のお話を踏まえて考えてみると、ストレスフルな仕事人間だった父さんが元気な頃に発していたあのキョーレツな臭いは、コメントの指摘のようにミドル脂臭だったのかもしれません。そして、加齢臭であれミドル脂臭であれ、臭いが減ったのは、ストレスがなくなったおかげかもしれないのです。

 つまり、あのコラムでご紹介した友人の分析と五味先生の推測は同じという結果でした(驚)。詳しいことはまだ解明されていないようですが、やっぱり、認知症になると「あの臭い」が消えるのかも!?

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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