心療眼科医・若倉雅登のひとりごと
医療・健康・介護のコラム
網膜剥離 手術で治したのによく見えない……実は「目鳴り」だった
両目とも強度の近視で、眼鏡が手放せない地方公務員の男性Eさん(60歳代)。網膜の周辺部に弱いところがあるため、年に何回か眼底検査を受けていました。4か月前の検査でも異常なしでした。ところが数日前から左目の視力が落ちたため、その眼科を受診したところ、網膜 剥離 と診断されました。
剥離の範囲が大きかったため、別の病院を紹介されて、網膜と白内障の同時手術を受けました。医師は「治った」と説明し、網膜剥離が消えた画像も見せてくれたのですが、視力は矯正しても0.4くらいしか見えず、視野全体が白っぽくかすんでいます。パソコン作業や外出時のうっとうしさは著しく、疲労感が強くて気力も出てきません。
手術後、医師は「経過良好」と本人の訴えに耳貸さず
それを医師に訴えても、検査結果を示して「経過良好だ」と言うばかりです。Eさんは、何か突破口はないかとネットで検索しているうちに、私どもの「目と心の健康相談室」を見つけました。私は電話相談でEさんの話を聞き、手術をした左目は医学的、解剖学的には治っていると言えるものの、肝心の見る機能は不可逆的に落ちてしまった状態だと理解できました。ここで、浮かんでくるのが「目鳴り」の症状です(過去のコラム参照。2015.6.4、2015.6.11)。
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