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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

網膜剥離 手術で治したのによく見えない……実は「目鳴り」だった

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 両目とも強度の近視で、眼鏡が手放せない地方公務員の男性Eさん(60歳代)。網膜の周辺部に弱いところがあるため、年に何回か眼底検査を受けていました。4か月前の検査でも異常なしでした。ところが数日前から左目の視力が落ちたため、その眼科を受診したところ、網膜 剥離(はくり) と診断されました。

 剥離の範囲が大きかったため、別の病院を紹介されて、網膜と白内障の同時手術を受けました。医師は「治った」と説明し、網膜剥離が消えた画像も見せてくれたのですが、視力は矯正しても0.4くらいしか見えず、視野全体が白っぽくかすんでいます。パソコン作業や外出時のうっとうしさは著しく、疲労感が強くて気力も出てきません。

手術後、医師は「経過良好」と本人の訴えに耳貸さず

 それを医師に訴えても、検査結果を示して「経過良好だ」と言うばかりです。Eさんは、何か突破口はないかとネットで検索しているうちに、私どもの「目と心の健康相談室」を見つけました。私は電話相談でEさんの話を聞き、手術をした左目は医学的、解剖学的には治っていると言えるものの、肝心の見る機能は不可逆的に落ちてしまった状態だと理解できました。ここで、浮かんでくるのが「目鳴り」の症状です(過去のコラム参照。2015.6.42015.6.11)。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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