知りたい!
医療・健康・介護のニュース・解説
ノーベル賞決定で「オプジーボ」の相談殺到、専門家は使用条件や副作用への理解訴え
今年のノーベル生理学・医学賞に 本庶佑 ・京都大学特別教授が決まった後、受賞理由の成果を活用したがん治療薬「オプジーボ」の使用に関する問い合わせが病院や患者団体に相次いで寄せられている。専門家たちは、オプジーボが使えるのは一定の条件を満たす患者に限られ、重い副作用が起きる可能性もあることを説いており、過度な期待は禁物だ。(米山粛彦)
「手術よりオプジーボのほうが治るのでは?」などと連日問い合わせ
「手術を受けるよりオプジーボを使ったほうが治るのでは?」「自分はなぜ使えないのか」。国立がん研究センター(東京都)の電話相談窓口には、連日約20件の問い合わせがあり、今月1日の受賞決定後、オプジーボに関する内容が増えた。
窓口では看護師や薬剤師ら2~3人が対応する。「手術は、がんを取り除ける、早期のがんに有効な治療法。一方、薬のオプジーボでは、がんを全て除去できるとは限らない」と説明する。
オプジーボは免疫細胞にかけられたブレーキを外し、がんを攻撃できるようにする働きを持つ。米国の研究チームは2017年春、進行した肺がんの患者に使用したところ、5年生存率が16%に上ったと発表した。従来の薬の治療法では5年の生存はほとんど期待できなかっただけに、医療関係者から驚きの声が上がった。
7種類のがんに保険適用 ただし対象になる患者は限られる
肺がんや胃がんなど7種類のがんにオプジーボは保険適用されているが、使用にはほとんどで「手術できない」「再発または転移した」などの条件が付き、一部の患者のみを対象にしている。国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長は「どのがんでも、効果が表れるのは患者の2~3割とされる。全員ではない」と指摘する。
筋力が下がり呼吸も難しくなる重症筋無力症に加え、大腸炎、間質性肺炎、1型糖尿病などの副作用を起こすリスクもある。
1 / 2
【関連記事】