いきいき快適生活
介護・シニア
防ぎたい「ヒートショック」
入浴時 急な温度差に注意

これから冬にかけ気温がぐっと下がる。特に入浴の際は、急な温度差で血圧が上下して、体調不良を引き起こす「ヒートショック」に注意が必要だ。安全対策を知っておきたい。
■血圧変動、命の危険も
ヒートショックは、医学的な定義はないが、温度差によって、血圧が急激に変動することで引き起こされる。
例えば、暖房のきいた暖かい部屋から、寒い脱衣所で裸になり、冷えた浴室に入ると、血管が収縮して血圧が上昇する。さらに風呂の湯につかると、体が温まって血管が拡張し、血圧が急低下する。血圧の急な変動によって、意識を失って湯船で溺れたり、脳 梗塞 や心筋梗塞を発症したりする危険があるという。
消費者庁が人口動態統計を分析したところ、家庭の浴槽で溺死した人は2016年に5138人。うち約9割が65歳以上の高齢者だった。
地方独立行政法人「東京都健康長寿医療センター」は、11年に全国で約1万7000人が入浴中に急死したと推計している。大半が冬場だった。
同センター元副所長で、「多摩平の森の病院」(東京)の高橋龍太郎院長は「特に高齢者は血圧が変動しやすく、体の機能が低下していてヒートショックを起こしやすい。注意と対策が必要です」と指摘する。
■浴室を暖めておく
高橋院長は、入浴時のヒートショック防止策として3点を挙げる。
まず、浴室や脱衣所を十分に暖めること。暖房器具などを使い、室温は20度を目安とする。体感温度に任せず、温度計で測るようにする。風呂の湯気で浴室全体を暖めたり、シャワーヘッドを高い位置に固定してお湯を出したりするのもいい。浴室に窓がある場合はあらかじめ閉めておく。
さらに、浴槽の湯温は41度以下に設定し、長湯は避ける。湯温が設定できない場合は温度計で測る。
最後に、飲酒の後は入浴を避ける。
高橋院長は「高齢者が多く住む古い住宅は断熱性が低い。冬場は冷えやすく、暖房のある部屋とない部屋の温度差が大きい。暖房を付けるなど浴室をリフォームするのも効果的でしょう」と話す。
■危険度伝える予報
日本気象協会は今月から、インターネットで「ヒートショック予報」
( https://tenki.jp/heatshock/ )を提供している。東京ガスと共同で開発した。
予想される気温と、標準的な住宅内の温度差などを想定し、ヒートショックの危険度を「警戒」「注意」「油断禁物」の3段階で知らせる。全国約1900地点の7日先までの予報を、パソコンやスマートフォンで見ることができる。
東京ガスの浜田結子さんは「ヒートショックの認知度は低い。入浴はリラックスできる楽しい時間でもあるので、高齢者の家族は、声をかけたり、安全対策を教えたりしてください」と呼びかける。
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