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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

「夫に育休を取られる方が面倒」というママも 男性は家事と育児のインターンシップを!

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 前回の 「産後うつ」のコラムに多くの反響をいただきました。男性が育児休業を取得する、もしくは1週間でもいいから有給休暇を取る、という産後うつの解決策に対し、賛成意見や「2人目の時は、夫が休みを取ってくれて本当に助かった」などの体験談もたくさんありましたが、その一方で、「取れるわけがない。男性の育休なんて恵まれた層だけの話」「夫が育休なんて取ったら、世話をしないといけない人間が増える。自分だけだったら適当でいいが、3食ちゃんと作らないといけない」のように、そもそも取れない、取られる方が面倒、という否定的なコメントもありました。

 夫が家にいる方が面倒、という声は衝撃的ですが、実際には多いのかもしれません。自治体や産院が主催し、妊婦と夫とが参加する「両親学級」のようなセミナーがありますが、教えるのは、立ち会い出産や赤ちゃんの 沐浴(もくよく) についてなど。夫に対しては、「最低でも自分の身の回りのことは自分でする」という基本的なことから教える必要があるということでしょうか。

仕事から全く離れ、子育てに専念する経験を

「夫に育休を取られる方が面倒」というママも 男性は家事と育児のインターンシップを!

東京のレゴランドに行きました

 先日、若手の男性の国会議員と、男性の育休取得について意見交換をしました。彼も、出産には休みを取って立ち会ったが、それ以降はまったく取らなかったそうです。夫は出産には立ち会うけれど、育児のスタートをフォローするのは、おじいちゃんとおばあちゃん、というケースは多いと思います。ですが、私は、男性にも可能な範囲で有休や育休を取り、育児と家事のインターンシップ(見習い)をした上で、子育ての当事者になっていただきたいと思います。

 まずは定時に帰宅、という考えも悪くはないのですが、できれば、ある期間は仕事から全く離れ、家事と育児だけに従事する経験をしてほしいのです。そうすることで、仕事に戻った後も、夫婦で子育ての大変さや難しさを共感、共有できるようになります。母親の孤立も防げるのではないでしょうか。

社会で男性がはく「下駄」を低くする

 男性育休のメリットは、もう一つあります。産休や育休を取る可能性がある女性は、雇用の際に敬遠されがちです。これが、「子供ができたら男女関係なく一定期間休むのだ」ということになれば、男性のはいている“下駄”が低くなり、性別にかかわらず活躍しやすい社会になるのではないでしょうか。

 育休中の給付金が4年前に引き上げられたこともあり、大企業を中心に男性の育休取得率は上がってきているそうです。育児に積極的に関わりたい男性も少なくありませんし、実際に取得した男性たちからは「貴重で充実した時間だった」という声も聞かれます。これが、当たり前のことになってほしいと思います。(宋美玄 産婦人科医)


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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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2件 のコメント

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複雑な肉体や社会の構造と向き合うこと

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

日本周産期メンタルヘルス学会は参加者多数で参加できませんでしたが、スライドがいくつかSNSに回ってきました。 産後うつの項目を見ますと、これに一...

日本周産期メンタルヘルス学会は参加者多数で参加できませんでしたが、スライドがいくつかSNSに回ってきました。
産後うつの項目を見ますと、これに一つもかからない方が普通ではない感じでした。
このような基準が間違っているというよりも、妊娠出産という作業が潜在的にストレスフルであるという表れだと考えます。

それは何故かというと、全ての個体は潜在的に利害対立項目があるからです。
お金や体力の時間の奪い合いの問題もありますし、母性愛神話の嘘とゴリ押しに向き合っていかないとベターな答えは生まれてこないと思います。

理想はおそらく男女双方が人格的にも生活的にも問題なく出産育児の休暇をとれることで、そのための準備が進めばいいですが、20代30代の男女でそのような余裕がない人間の方が多いことをどう解決するか。

今日は妊娠高血圧学会に来ておりますが、肉体だけで見ても、妊娠に伴う変化で子供と母親には利害の対立があります。
また、そういう肉体的な不快感や不可解な症状に対する恐怖から精神的な症状が出る場合もあるでしょう。

もしかすると、そういう医学的な話や社会的、心理的な話は一般人にとって難しかったり、かえって精神的にストレスを増やすものかもしれません。
一方で、その時点で正しいとされることを解析しながら、感情的な部分も含めて論理的な解析を行うことで、より良い答えやその素材が見つかるのではないかと思います。

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育休をとった夫と離婚

シンママ

第一子の生後6ヶ月から8ヶ月まで、元夫は育休を取りました。私は産休中で、在宅で少しずつ仕事に復帰しているタイミング。とてもイヤな予感がしましたが...

第一子の生後6ヶ月から8ヶ月まで、元夫は育休を取りました。私は産休中で、在宅で少しずつ仕事に復帰しているタイミング。とてもイヤな予感がしましたが、それは的中し、朝寝・ジム通い・気が向けば子どもと散歩・夜は飲み会に行く状況。家事も育児もほぼせず、本人はイクメンのつもりで腹立たしい限りでした。その件がきっかけで、1年半後には離婚。家事の負担が減り、肉体的にも精神的にもラクになりました。元夫よりも私の方が収入が多かったため、結果的には経済的にもラクになりました。迷っている方には、離婚を強くオススメします。

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