あんしんQ
医療・健康・介護のニュース・解説
Q 何歳まで会社で働ける?
A 「65歳まで」制度義務付け
国内企業の7割超が、60歳を定年としていますが、60歳以降は働けないということではありません。企業には、高年齢者雇用安定法で、希望すれば65歳まで働ける制度の導入が義務付けられているためです。年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯現役社会」の実現に向けた取り組みです。
原則、65歳まで働ける何らかの制度を設けることが必要で、具体的には、企業は「継続雇用制度の導入」「定年の引き上げ」「定年制の廃止」のいずれかの措置を実施しなければなりません。
■継続雇用制度が主流
昨年6月時点の厚生労働省の集計では、65歳までの雇用を確保する仕組みとして、全体の約8割の企業が、継続雇用制度を選択しています。定年の見直しは計約2割と少数派です。
多くの企業が採用している継続雇用ですが、それまで本社勤務だった人が、子会社や関連会社などに移るケースも認められています。雇用の形態が、正社員から契約社員などに変わる例も多いようです。
継続雇用後の賃金が、それ以前より大幅に下がる人が多いという調査結果もあります。将来の生活設計のためにも、勤め先の人事担当部署に、60歳以降の雇用形態や賃金水準を確認しておきたいところです。
ただ、希望者全員が65歳まで働けるわけではない点には注意が必要です。厚労省は「個別の労働者の65歳までの雇用義務を企業に課すものではありません」と説明しています。
継続雇用の制度は希望者全員を対象とする必要がありますが、就業規則の解雇や退職の規定に当てはまる場合、継続雇用しないことができます。働き続けることを希望する場合は、職場で十分に力を発揮できるよう、体調管理なども重要になってきます。
■70歳以上まで働ける企業も
一方、元気な高齢者が増えていることや、深刻な人手不足を背景に、70歳以上まで働ける制度の導入企業も増えています。17年の集計では、全体の約23%に上っています。
政府は、継続雇用の年齢をさらに引き上げたい意向で、努力目標として企業に呼びかけることなどを検討しています。今後の動向が注目されます。
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