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介護のいろは

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[介護のいろは](10)ショートステイとは?

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  自宅で高齢者を介護している家族が、都合で世話ができなかったり、休息をとったりする時に頼りになる介護保険サービスが「ショートステイ(短期入所生活介護)」です。高齢者が一時的に施設に宿泊し、介護の専門職に生活状況をチェックしてもらえるなど、高齢者自身にも良い点があります。(藤本綾子)

一時入所で家族の負担減

 京都市伏見区の「同和園短期入所事業所」。共用スペースで利用者たちがソファに座ってテレビを見たり、おしゃべりをしたりしていた。

 作業療法士とともに裁縫や塗り絵を楽しむ人も。利用者が刺しゅうしたタオルはバザーで販売しており、作業療法士が「人気商品やから頑張ってくださいね」と声をかけると、1人が「安くなら売れるわ」と返し、笑いに包まれた。

 「レクリエーション中心のデイサービスと違い、自宅のように生活する場。思い思いに過ごしてもらえれば」と所長の長田 みこと さんはいう。

[介護のいろは](10)ショートステイとは?

作業療法士とともに裁縫を楽しむ利用者たち(京都市伏見区の同和園短期入所事業所で)

最長30日連続も

 ショートステイは、家族の負担軽減が主な目的だ。要支援と要介護の人が対象で、最長30日連続して利用できる。

 大阪府茨木市の中川裕子さん(55)は、京都市内に住む認知症の母親(80)が9月末に特別養護老人ホームに入所するまでの2年間、同事業所のショートステイを月2、3回、それぞれ2泊3日程度利用していた。

 母親宅には叔父(78)が同居し、中川さんは週3回ほど通って介護した。症状が進み、叔父の負担が大きくなり、中川さん自身も「『老老介護』で何か起こらないだろうか」と帰宅後も気持ちが休まらなかった。「母がショートステイを利用する数日間が、家族にとって心穏やかに過ごせる時間だった」と話す。

予約は早めに

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 利用を希望する際は、ケアマネジャーを通じて施設に申し込むケースが一般的だ。人気が高いサービスなので、早めの予約を心がけたい。介護者の急病や葬儀への参列など、突発的に利用が必要になった場合は緊急用の空きベッドを紹介してもらえることもある。

 費用は要介護度などで異なる。同事業所では、課税世帯の要介護3の人が2泊3日利用した場合、介護保険の自己負担分(1割)と滞在費、食費などの実費を含め計8500円が必要となる。

 施設によっては、たん吸引などの医療的なケアが必要な人は利用できないこともある。医療的なケアが必要な人向けに、老人保健施設などが行う「短期入所療養介護」という別の種類のショートステイがあるので、利用を検討しよう。

生活状況チェック

 同事業所を運営する社会福祉法人の地域包括ケア推進室長、川内充さんは「『自分が楽をするために行かせている』と心苦しく思う家族も多いが、高齢者自身にもメリットはある」と話す。介護福祉士らが24時間体制で生活状況を確認することで、より良い介護方法が見つかることもあるからだ。

 中川さんも「ショートステイから帰ってきた母の顔はいつも穏やかでした。プロの介護を受け、快適に、落ち着いて過ごせていたのだと思う」と振り返る。上手に活用し、無理なく介護を続けたい。

[専門家に聞く]落ち着ける環境か確認を

  ショートステイの施設を選ぶ上で何に気を付ければいいか。京都市老人福祉施設協議会ショートステイ部会の副部会長、新川昌代さんに聞いた
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 施設探しをするタイミングは、「介護疲れが限界」「外せない出張がある」といった切羽詰まった状況でなく、余裕のある時がいいでしょう。事前の見学で利用する本人に合う施設かどうか確認できますし、施設に慣れるまでは、不安から帰宅願望が募り、利用を中止せざるを得ない可能性も少なくないからです。

 見学では設備だけでなく、職員が丁寧に利用者に接しているか、利用者が落ち着いて過ごしているかなども見てください。にぎやかな施設もあれば、静かな施設もありますが、本人がリラックスして過ごせる環境かどうかが大事。同じ施設でデイサービスも行っている場合、まずそれを利用しておくのもお勧めです。施設の雰囲気が分かり、職員に慣れることもできます。

 転倒防止などを重視した手厚いケアを望みたい、自宅で自立した生活を続けられるよう支援してほしいなど、希望は家族ごとに様々です。施設が何を大事にしているかも聞いた上で、一緒に最良の介護を考えてくれるところを見つけてください。

<疑問や思い 募集します>
 「介護のいろは」は毎月1回の掲載です。介護に関する疑問や今後読みたいテーマ、介護に抱く思いも募集しています。〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部「介護のいろは」係へ。ファクス(06・6365・7521)、メール(seikatsu@yomiuri.com)でも受け付けます。

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