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月経前症候群…女性の7割、心身に不調 ホルモン剤、抗うつ剤 有効
月経の前に起こる様々な心身の不調は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれ、女性の約7割が何らかの症状に悩まされています。病気と知らず、我慢している人もいます。症状は薬で抑えられることから、専門医は婦人科の受診を呼びかけています。(佐々木栄)
なぜ起きる?

女性の体内では、脳から指令を出すホルモンの分泌を合図に、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンが周期的に分泌されると、子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床しやすい状況になります。妊娠しなければ出血とともに膜ははがれ、体外に出ます。これが月経です。
出血は3~7日間続き、25~38日間隔が正常な周期です。思春期から50歳前後で閉経するまで繰り返されます。
PMSは月経が始まる3~10日前からみられる身体・精神症状で、月経開始とともに治まります。黄体ホルモンか、その代謝産物が引き起こしていると考えられています。
どんな症状?
身体症状には、乳房の痛みや張り、おなかの張りや腰痛、頭痛、むくみなどがあります。精神症状では、うつ、怒りっぽくなる、イライラ、自己喪失感などがみられます。
特に、精神症状が強い場合は「月経前不快気分障害」(PMDD)と呼ばれます。しかし、認知度が低く、病気と自覚していない人も目立ちます。職場で人間関係がこじれたり、離婚の原因になったりするケースもあります。
国内の調査では、PMSの治療対象となる女性は6・5%、約180万人に上ると報告されています。月経中は、腹痛や下痢、吐き気などの「月経困難症」になる人もおり、PMSと月経困難症の両方に悩む人もいます。
どう治すの?
排卵や黄体ホルモンの分泌を抑えるホルモン剤が有効です。代表的なものは月経困難症治療薬(LEP製剤)で、身体、精神の両方の症状を和らげます。月経そのものも軽くなり、子宮内膜症の予防にもつながります。
精神症状が強い人には抗うつ剤(SSRI)も有効です。痛みには鎮痛剤、むくみには利尿剤が使われており漢方薬で治療する人もいます。欧米では積極的にホルモン剤を活用する傾向があります。
日記をつけて月経の周期を予測することも大切です。疲れやストレスをため込まないよう日頃から規則正しい生活と運動を心がけましょう。コーヒーやたばこは控えた方がいいでしょう。症状が出ている時は仕事や家事などでの負担を軽減することも大切です。