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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

相次ぐ災害、認知症の人と家族は…「福祉避難所」知ってますか? 

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北海道で大停電…漫画家の日野さんはヘッドライト姿で介助

 大きな災害の発生後に、自身も大変な状況なのに認知症などケアの必要な人たちを支えてくれる介護職の方々がいます。

 実は、このコラムの漫画を描いてくださっている日野あかねさんもその一人。北海道在住の彼女は、漫画家として活躍する一方、認知症の方々がケアを受けながら暮らすグループホームでも働いています

 北海道では、先日起きた大地震により、全域が一時停電になる事態に陥りました。そんな中でも、日野さんはいつも通りにグループホームで勤務をされていたといいます。カセットコンロで夕飯の支度をして、日が暮れて暗くなると頭にヘッドライトをつけて、入居者の方の介助を続けたそうです。この話を聞いたとき、そんなときでも冷静に対応し、仕事をこなした姿勢に感心しました。

震災で帰宅難民に! たどり着いた我が家では…

 そして、この話を聞いて思い出したのが、東日本大震災のときのことです。私たちの住む地域は大きな被害があったわけではありませんが、当日は実家のある地域は停電になったり、頻繁に起きる余震に不安な日々を過ごしました。

 私は結婚前だったのでまだ両親と同居していて、その日は仕事で東京都内に行っていたのですが、地震により交通網がストップし帰宅難民になりました。仕事仲間と夜通し歩いて自宅を目指しましたが、途中で力尽きて都立高校でひと休みすることに。毛布を借りて教室で横になると、うっかり寝すぎて目が覚めるとすでに翌日のお昼過ぎでした。

 運行再開した電車でやっと家に着き、「大丈夫だった?」と両親に声を掛けるも、父さんはそこにはいませんでした。「こんなに大変な中でも、いつも通りにデイサービスのスタッフが迎えに来てくれたの!」と母さん。なんと、地震の翌日も父さんはいつも通りにデイサービスに行っていたのです。

 3月11日はデイサービスの施設で地震にあった父さんですが、あの混乱の中でも、デイサービスのスタッフがいつも通りに笑顔で家まで送り届けてくれたそうです。地震発生後から不安な気持ちを抱え、父さんを待ち続けた母さんは、自身も大変なはずなのに笑顔で「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれたスタッフに大きく励まされたとか。これも「認知症介護あるある」かもしれませんが、最大級のピンチのときにスタッフなどから掛けてもらった言葉や笑顔を私たち家族は決して忘れないのです。

非常用袋に父さんのおむつ

 頼もしいスタッフがいるからと、人に頼ることばかりを考えていてはいけません。家族に介護が必要な人がいるからこそ、自分たちでできること、さらに今からできる備えや情報収集は、こまめに確認しアップデートすることを常に意識しようと思っています。

 最後に、これは余談ですが、母さんは「私は父さんをおいて、一人でさっさと逃げるからね~」と、いつも冗談交じりで言っています。ですが、東日本大震災の直後には、父さんと2人分のヘルメットと非常用持ち出し袋を通販で購入していました。もちろん、その中には父さんのおむつもバッチリ入っていることは言うまでもありません。母さんも母さんなりに、今、できることをしているようです。(岡崎杏里 ライター)

 登場人物の紹介はこちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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