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望ましい最期(6)読者の反響

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 最期を迎える場所や延命治療の選択に悩む本人、家族を取り上げた連載「望ましい最期」(8月28日~9月2日、5回)には、本紙への手紙やメール、インターネット上などで多くの反響があった。

終わりの選択、境遇重ね

 大分市の一人暮らしの女性(93)は、末期がんで死が近いことを覚悟しながら自宅での最期を望んで逝った61歳の独身男性と、自身の境遇とを重ねたという。

 女性は終戦の年に、満州(現中国東北部)で結婚。26年前に亡くなった夫と引き揚げ後、苦労して、今の家を建てた。自分で料理や庭の草取りをし、週1回デイサービスに通う。北九州市の長男(67)から「近くの施設に来ないか」と誘われ、迷っているという。「我が家で穏やかな終わりを迎えられたら、どんなに幸せだろう」と手紙につづった。

夫と相談「延命望まず」

 認知症の人の延命治療に焦点を当てた連載4回目には、福岡県岡垣町の岩崎 和十三わとみ さん(79)が感想を寄せた。「万が一の時に迷惑をかけたくない」と、葬儀や墓の希望を子どもたちに伝えているが、連載を読んで再び夫と話し、「延命治療は希望しない」と書いた紙を家計簿に貼ったという。

  看取みと る立場からの意見もあった。5月に肺がんだった85歳の母を亡くした福岡市早良区の大山薫さん(48)。本人の希望で抗がん剤治療をせず、在宅医や訪問看護師の支援を受け、最期の時まで自宅で一緒に過ごした。大山さんは「多くの人が最期の実感を持てないまま、高齢化が進んでいる。様々な経験談を知ることが、望ましい最期を考えることにつながる」と話した。

終末期への思い、伝え合って

 年間130万人超が亡くなる「多死社会」の現代。その8割が病院で最期を迎えている。連載は普段見えにくい終末期の現場の実態を伝えることが狙いだった。

 取材では、末期がんの独身男性宅を、在宅医に同行して何度も訪ねた。「どうやって残りの時間を笑って過ごすか。それが大事」。男性が思いを伝えるように発する言葉の一つ一つをメモした。

 男性にとって、笑顔で過ごせる場所が、自宅だった。趣味のプラモデルに囲まれ、「一人でも家がいい」とほっとするように何回も言った。一時、病状は落ち着いた。最期までの時が少しでも長くなるよう、願った。

 住み慣れた家での最期を望む人は多いが、一人暮らしや夫婦だけの世帯は増えている。施設や病院を含め、多様な看取りの場が必要だ。認知症が進行して意思表示が難しくなった時、本人に代わり決断を迫られる家族へのサポートも重要になる。

 昨年度の国の調査では、終末期に望む医療について、5割超が家族と話したことがないと答えた。患者本人の希望をかなえることは、残された家族の心の平穏にもつながる。身近な人と思いを伝え合うことが、望ましい最期への第一歩だと思う。(手嶋由梨)

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