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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

コラム

若い女性特有の「いい匂い」は10代後半がピーク 維持する方法

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体臭は体の変化を知らせるサイン

 次は、体のニオイが病気の早期発見に役立つという話題です。病気になると、体内での物質の合成が健康な時とは異なってきて、さまざまなニオイ物質がつくられます。糖尿病の「ケトン体」は有名です。ほかにも、大腸がんでは「メタンチオール」、乳がんでは「ジメチルトリスルフィド」などが知られています。これらのニオイ分子は血液に乗って全身を回り、汗や尿、吐く息となって体臭になります。したがって体臭は体の変化を知らせる大切なサインでもあります。

「探知犬」「線虫」が、がんを教える

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 ただ、人間の嗅覚では、体から出る微量のニオイ分子を感知できません。そこで、人間の100万倍以上の嗅覚をもつ「がん探知犬」に嗅かがせて、がんの判定をする試みがあります。検査方法は、自分の呼気を採取バッグに入れ、ラボに送るだけです。病院での検査に比べ、苦痛もなく非常に簡単です。しかも、よく訓練された探知犬なら、がんの探知精度は100%近くだそうです。がんの症状がなくても、自宅にいながらルーチン検査として利用し、検査結果を受けた上で専門病院の精密検査で確定診断してもらえば、早期発見の有効な手段となるでしょう。

 さらに、犬の1.5倍の嗅覚センサーのある生物がいます。「線虫」です。「シー・エレガンス」という名前の線虫は、がんの人の尿に含まれるニオイ成分を好み、正常の人の尿は避ける性質があります。線虫を培養したシャーレに尿を1滴たらし、尿に線虫が集まればがんの可能性があります。既に大手の家電メーカーが、線虫を利用した検査向けの自動撮像装置を開発。18種のがんの発見が可能だそうです。

 尿をラボに送付するだけですので、体への負担が少なく、しかも低価格な1次スクリーニング検査として適しています。2020年には実用化される見通しで、将来的にはゲノム編集によって特定のがんを識別できるオリジナル線虫の開発も予想されています。

嗅覚は記憶や感情を呼び起こす

 最後に、嗅覚と認知機能の関係の話題です。アルツハイマーなどの認知症では、物忘れなどの認知機能の低下の前段階としてまず嗅覚の機能が衰える傾向があることが指摘されています。米国老年医学会誌には、オレンジ、バラ、魚などの6種類のニオイを識別する嗅覚テストで、ひとつも正解できなかった人のほとんど全員が5年後に認知症と診断されたという報告もあります。またMRI(磁気共鳴画像)スキャンで脳を調べると、アルツハイマー病で初期に影響を受ける「嗅覚野」の皮質に厚みのなくなっていることも、コロンビア大学の研究チームが報告しています。

 嗅覚情報は五感の中で、最もダイレクトに脳に伝わり保存され、視覚や聴覚以上に記憶や感情を呼び起こすといわれます。普段から意識してニオイを嗅いで嗅覚機能を働かせる習慣をつけると、記憶力の低下や感情が鈍くなることの予防につながるかもしれません。高齢になってもニオイエチケットの気遣いを忘れず、自分の体臭を普段から意識している人は、脳の老化を遅らせているのかもしれませんね。(五味常明 五味クリニック院長)

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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