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遺産の「争続」避けるには…遺言は公正証書に

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遺産の「争続」避けるには…遺言は公正証書に

 遺産相続を巡る家族のもめ事を避けるには、遺言書を作ることが一つの解決策だ。自分で作ることもできるが、公証人と一緒に作る「公正証書遺言」がお薦めだという。専門家に手続きや費用について聞いた。

 東海地方在住の80歳代の男性は昨年、遺言を書くことにした。2歳年下の妻は、数年前の脳 梗塞こうそく の後遺症で意識がなかった。自分に何かあった時、同居する長男や遠方で暮らす長女の間で、相続を巡るトラブルが起きたら困ると考えたからだ。

 「公正証書遺言を作りましょう」。男性が行政書士の石川秀樹さんに相談すると、そうすすめられた。

 遺言には、自分で遺言を書く自筆遺言と、全国にある公証役場で、裁判官OBなどの公証人と作る公正証書遺言がある。

 自筆遺言の場合、自分で手軽に書くことができるが、内容に不備があれば無効になる恐れがある。公正証書遺言は、依頼者が内容を口述し、公証人に文書にまとめてもらうため、確実に効力を発揮するという点で安心感がある。男性は公正証書遺言を作ることにした。

 遺言の内容は、自分の財産を誰にどのくらいのこすかを記すのが一般的だ。男性の場合、自宅兼事務所と中古アパートなど不動産が計約1億800万円。そのほか預貯金などの金融資産が計約4000万円あり、遺産分割の対象となるのは計約1億4800万円だった。

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公正証書遺言の「正本」と「謄本」

 実際に公正証書遺言を作るには、地元の公証役場へ行って、事前に公証人と打ち合わせする。遺言の文面を決め、法的に間違いのないものにするためだ。

 本人確認ができる印鑑登録証明書や、相続人との関係がわかる戸籍謄本なども必要だ。財産の中に不動産があるなら、登記の証明書も求められるため、事前に準備しておく。

 また、公正証書の作成当日には証人2人が必要になる。相続人は対象にならないため、信頼できる友人らに頼むか、あてがない場合は公証役場に紹介を頼むこともできる。

 作成当日は、公証人が、本人と証人2人の前で遺言の内容を読み上げる。内容に間違いがなければ、本人と証人の3人が、証書に署名、押印して完成だ。

 原本は公証役場で保管してもらえるので、なくしたり、改ざんされたりする心配はない。正本と謄本は本人に手渡される。

 内容によって異なるが、A4サイズの冊子6枚ほどが一般的だ。公正証書遺言の作成には、書類の準備などに手間がかかることもあり、長いと1か月くらいかかる。具体的な預金や不動産の額は書かれていないため、額が変わっても書き換える必要はない。男性や家族は「これでほっとした」と話したという。

 石川さんは「遺言を作る時はまず、目的をはっきりさせておくことが大事」と指摘する。特定の人に財産をのこすのか、家族がもめないようにしたいのかによって、内容が変わってくる。

 遺言者の意思を確実に実現するには、遺言に従って不動産の名義変更などの手続きを行う遺言執行者も決めておきたい。

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  [アドバイザー]石川秀樹さん

 静岡市出身。1973年、早大卒業後、静岡新聞社の記者に。2012年に退社し、行政書士として開業。16年、高齢者が安心して生ききるための「大事なこと、ノート」を出版。相続対策の総合プロデューサーとして、遺言や家族信託などのアドバイスを行っている。

相続人ごとに手数料

 公正証書遺言を作るには、遺言に記す財産の額や、相続人の数によって手数料がかかる。

 例えば、相続人が1人の場合、財産が100万円以下なら手数料は5000円。200万円以下だと7000円などと決まっている。

 手数料は、財産の合計額ではなく、相続人ごとにかかるため、複数の場合はそれぞれにかかる手数料の合計額になる。さらに、全体の財産が1億円以下の場合は、遺言加算もかかる。

 このほか、公証役場を通じて証人を紹介してもらった場合の費用などもある。遺言の内容や手続きについて、弁護士や行政書士などの専門家に相談するなら別途、相談費用がかかる。

 (粂文野)

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