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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

ゆるっと楽しむ「パパごはん」のすすめ

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ゆるっと楽しむ「パパごはん」のすすめ

塩野崎家の大黒柱がお料理中。照れ屋なので後ろ姿だけです

 子どもの頃、「お父さんがご飯を作ってくれた記憶」はありますか? 私には、父親がキッチンに立って何かを料理してくれた思い出はありません。当時の中学校では、男子生徒には「家庭科」の授業がなく、「料理は女子が習うもの」という考え方が教育方針にも色濃く残っていた時代でした。1970年代に生まれた「団塊ジュニア」と呼ばれる私たちの世代は、まだ「家事は女の仕事」という先入観を植え付けられて育ちました。現代は家事や育児を家族で分担するのが当たり前の時代です。とはいえ、フルタイムで働きながら家事と育児に追われ、「子どもを保育園にお迎えに行った後の方が仕事より忙しい」と漏らす女性も少なくありません。

ママがいないといつも外食に?

 私は現在四つの学会に所属しており、年に2~3回は学術集会に参加しています。多くの学術集会は2日間にわたって開催されるため、遠方で開催される場合は現地に宿泊します。家族の夕食を用意してから出かけることもありますが、夫と子どもたちは近所のファミリーレストランや回転 寿司(ずし) 、ラーメン屋さんなどで夕食を済ませることがほとんどです。しかしあるとき、長女のおなかの調子が良くないため、夫が家で何かを作ることになったことがありました。冷蔵庫の中の食材を見て、「そこにあるもので何かを作る」というのは、「料理初心者」にとっては少しハードルが高いのですが、夫は「オムライス」を作りました。タマネギとニンジン、ハムをみじん切りにし、ごはんと一緒に (いた) めてケチャップで味付けして、フライパンに流した溶き卵で包みます。仕上げに、表面にケチャップで娘の名前を書いてできあがりです。少しいびつなオムライスでしたが、子どもたちは大喜び。送られてきた写真とともに「パパオムライス、すごくおいしかったよ」と教えてくれました。

パパごはんのレパートリーは「ごはんもの」

 その後、私が学会や仕事に出かける際には、あらかじめ食材を準備しておき「パパごはん」をお願いすることが増えました。パパちらし、パパチャーハン、パパカレーなど、今のところ全てごはんものです。これらのメニューは、野菜をたくさん加えると1品で栄養バランスがとりやすく、かつフライパンや鍋ひとつで作ることができます。さらに、お皿ひとつですみますので、食器の洗いものも少なく、片付けも楽です。

 あるとき、仕事を終えて遅くに帰宅すると、私の分の「パパちらし」がテーブルの上に置いてありました。疲れと空腹でヘトヘトだったのですが、夫が作ったちらし寿司の美味しさに身も心もほぐれ、感謝の気持ちが湧いてきたのを思い出します。ごはんに混ぜるだけの「ちらし寿司のもと」で作った料理でしたが、びっくりするほど細い「手作りの錦糸卵」が盛りつけられていたのです。思わず「なかなかやるなぁ~」とつぶやきました。

 どんなに簡単な「混ぜるだけ」の料理であったとしても、心を込めて作った「パパごはん」は娘たちの記憶と心に深く刻まれていると思います。

「パパごはん」の本当のねらい

 「父親が料理をすること」の本当のねらいは、単に男性に家事をしてもらうためだけではありません。我が家の「パパごはん」には二つのねらいがあります。

 ひとつは、「ママに不測の事態が起きても突然事故や病気でいなくなっても、家族がきちんと食べていくため」です。たとえば、ごはん作りを担っていたお母さんが体調を崩したことで、食生活が一気に崩壊してしまった家庭は少なくありません。「料理作り」が家族のうちの1人に集中することは、リスクマネジメント上、好ましくないと考えているからです。

 もうひとつの狙いは、「料理作りは女だけの仕事ではない」と、娘たちに教育するためです。家事や育児の役割が女性に集中してしまっているのは、「これは女がやることだから」と私たち女性の意識に深く刷り込まれていることも原因のひとつではないでしょうか。

 内閣府によると、日本の6歳未満の子どもを持つ夫が、1日あたりの家事や育児に費やす時間は、週平均で67分(平成23年の調査)だそうです。欧米諸国と比べて短いことが分かっています。平成27年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」では、67分を平成32年に2時間30分とする数値目標が掲げられています。67分からいきなり2時間半では、目標が大きすぎる気がしますが、心意気は素晴らしいと思います。内閣府では父親の料理への参画促進を目的とした「“おとうはん”始めよう」キャンペーンも開催しています。
 ( http://www.gender.go.jp/public/otouhan/campaign.html

 みなさんのご家庭でも、ぜひ「おふくろの味」ならぬ「おやじの味」を楽しんでみてはいかがでしょうか。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

 「おとう飯」レシピ集 http://www.gender.go.jp/public/otouhan/recipes/list.html
 (内閣府男女共同参画局ホームページより)

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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