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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

ベンゾジアゼピン離脱症候群……依存性への意識が遅れた日本

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他の薬と併用が多く、実証的な研究進まず

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 残念なことは、今日になっても離脱症候群の頻度や、治りにくい遷延性はどのくらい生じているのかについての調査はなく、中枢性羞明を含む感覚過敏のメカニズムの解明が一向に進んでいないことです。

 その原因は想像がつきます。今日まで非常に多種のベンゾ系薬物や類似薬が次々市場に出回り、多用されました。しかも、使い方はまちまちで、単剤ではなく他の向精神薬と併用されることも多かったのです。それらを十把一からげにしての臨床研究では、おそらく科学的実証性に疑問を持たれるので、医師が問題意識を仮に持っていても研究に結び付けにくいのです。

 加えて、離脱症候群は離脱だけが問題なのではなく、服薬期間中から、すでに症状が出現し始めているか、発症の準備段階にある可能性がありますが、検証が極めて難しいことです。

 また、長年服用し依存していると思われる患者に、私がたとえば「ベンゾ眼症」の話をすると、驚いて急にやめてしまう人があります。ところが、その一部の人は離脱症状を全く起こさないというように、ベンゾ系薬物に対する個人差は極めて大きいことも研究が進まない一因でしょう。

 離脱症候群への認識が高まることが期待されます。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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