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支える犬たち(中)介助犬 日常の我慢を解消

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支える犬たち(中)介助犬 日常の我慢を解消

恭子さんの「テイク!」の指示で、財布をくわえて渡すテレサ

 「まちで見かけることはほとんどないでしょうが、まずは存在だけでも知ってほしい」

 福岡県糸島市にある九州補助犬協会の副理事長で、訓練士の桜井昭生さん(62)はそう話す。かつては盲導犬の訓練士をしていたが、普及の進んでいない介助犬を増やそうと、2006年から育成に取り組んでいる。

 手足に障害のある人の生活を支えるのが、介助犬の仕事。落ちた物を拾ったり、車いすから体を移動するときの支えになったりもする。厚生労働省の8月の調査によると、実働しているのは全国で68頭で、九州・山口・沖縄では2頭しかいない。

 協会では、九州各地で普及啓発活動もしている。そこで活躍しているのが、介助犬として訓練を受けたラブラドルレトリバーのテレサ(雌、5歳)だ。協会の理事長で桜井さんの妻の恭子さんがデモンストレーションとして車いすに乗り、テレサの仕事ぶりを見せてくれた。

 まずは歩行。テレサは、リードが車いすのタイヤに絡まない程度の距離で左後方をついてくる。方向転換をしても、もたつく様子はない。物を落とすと、「テイク!」の指示で、口を使って拾う。財布やキーホルダーだけでなく、薄いカードもお手の物だ。ほかにも、着信音の鳴る携帯電話を取ってきたり、靴を脱がせたりと、臨機応変に動く。

 「介助犬は“オーダーメイド”で育成しなければならないので、難しいんです」と昭生さん。障害の程度は人によってさまざま。例えば、使用者の左半身が不自由なら、介助犬は右後方を歩くように訓練するという。

 ユーザーになるには、厚労省の指定する法人で面接や審査を受ける必要があるが、盲導犬の施設よりも拠点が少ない。西日本では特に少なく、同協会では、面接や審査の際は兵庫県の指定法人まで付き添う。

 介助犬は、障害のある人が生活のどこかで我慢している不自由さや孤独感を解消し、生きやすくしてくれる存在だという。「心強いパートナーとしてQOL(生活の質)を高めてくれる。障害のある方にも、選択肢の一つとして考えてほしい」と昭生さんは望んでいる。

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