文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

著名人インタビュー

もっと知りたい認知症

[山際聡さん]美容と介護 「二刀流」養成

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
[山際聡さん]美容と介護 「二刀流」養成

撮影・松本拓也

 今年、美容と介護を同時に学ぶことができる「介護美容研究所」を東京・原宿に開校しました。高齢者にメイクやネイルケアなどを提供できる介護職や、介護の知識を持つ訪問美容師を介護現場に送り出すスクールです。

 「美容介護」というジャンルを確立し、介護に興味を持つ人のすそ野を広げていきたいと考えています。

 元々、洋服が好きで、大学卒業後、ファッションや美容関係の学校を経営する会社に入社しました。

 しかし、せっかく美容業界に憧れて学んだのに、少子化で顧客が減っていて、良い働き口がない多くの若者たちを目の当たりにしました。

 「社会に必要とされる人材を育成するのが、学校の本分のはず」と、疑問を抱くようになりました。

 そんな時、知人から「認知症の母親に妹がチークを塗ったら、意識がはっきりして僕の名前を呼んだんだ」という話を聞きました。

 メイクやネイルケアで笑顔になる高齢女性が多い一方、「介護施設で暮らす女性が職員にバリカンで髪を切られ、精神的に傷つく」といった例が少なくないことも知りました。

 介護業界は、人手不足が深刻です。主な要因は低賃金と言われていますが、賃金水準がより低い美容師になりたがる若者は大勢います。

 「華やかなイメージの美容を足がかりにすれば、介護業界にも人が集まるのでは」と、3年前に起業しました。

 美容に携わりたい人たちが、人手不足に悩む介護現場で活躍できるようになればと願っています。

  ◇やまぎわ・さとし  40歳。東京都出身。介護業界の人材会社「ミライプロジェクト」社長。介護美容研究所では、週1~2回の通学や通信教育で学び、訪問介護を担える「初任者研修」も受講できる。仕事の紹介も受けられる。

 (田中ひろみ)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

著名人インタビューの一覧を見る

最新記事