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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

審議重ね、意を決して出発…認知症の父さんとの外食は大事業?

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漫画・日野あかね

食への情熱がパワーアップ

 このコラムをいつもお読みになってくださっている方には、我が家の父さんは食べ物に対する並々ならぬ情熱があり、それが認知症になってよりパワーアップしていることがお分かりだと思います。

 そんな父さんだからこそ、私たちにとって悩ましい問題がありました。それは「父さんとの外食」。元気なころの父さんは、外食が大好きでした(そんな生活がたたり、生活習慣病が原因といえる脳血管性認知症になり、今に至るのかもしれませんが……)。そのため認知症になっても、外食することをよく提案するのです。

難題あるけど、希望かなえたい

 ところが母さんは、それをとても嫌がります。理由は、豪快に見えて実はガラスの心臓の持ち主という、非常に面倒くさい!?母さんの性格からして、お店での父さんの行動が気になってしょうがないから。

 認知症という病気なのだから仕方ないと私は思うのですが、人の目を気にしがちな母さんは、料理をボロボロこぼしたり、食事に集中するあまり、ときには素手で食べ始めてしまう父さんと一緒に外で食事をすることに、かなりの抵抗があると言います。

 母さんの気持ちもわかります。たとえば、同じぐらいの年齢のご夫婦が楽しそうに隣で食事をしていたりしたら、お店で知り合いに会ってしまったら……。夫婦だからこそ、思うことがいろいろとあるのだと思います。

 でも、私は父さんの生きるモチベーションになっている「おいしいものを食べる」という希望もかなえてあげたいという気持ちもあります。こんな家族の葛藤も「認知症あるある」なのかもしれません。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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