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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

コラム

秋は「夜型化」の季節 良い睡眠のため、午前中は「上を向いて歩こう!」

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午前の光は生物時計を進め、夜の光は遅らせる

 深夜0時に寝て、朝7時に目を覚ます人を例にとって説明します(普段の睡眠時間帯が異なる人は、そのぶん時刻をずらして計算してください)。

 早朝5時頃から午後の早い時刻にかけて目に光が入ると、翌日の生物時計の時刻は早くなります(朝型になる)。特に、午前中の光は大きく時刻を早めるので効果的です。

 午後になるに従って朝型効果は弱くなり、夕方近くになるとゼロになります。そのため、生物時計の時刻が遅れがちな夜型の人は、午前中にできるだけ強い光を長い時間浴びる(目に入れる)ことをお勧めします。

 逆に、夕方以降に浴びる光は生物時計の時刻を遅らせます(夜型になる)。しかも、その夜型効果は夜が更けるに従って強くなり、深夜0時以降に浴びる光はかなり強力な夜型効果を発揮します。夜更かしをして家庭照明やモニターから出る光を長時間浴びている夜型の人は、さらに生物時計の時刻が遅れて夜型が強まる悪循環に入ってしまうのです。さらに、休日には朝寝坊をしてしまい、朝型効果のある午前中の光を浴びることもできません。

夜間照明は控えめに 週末はいつもの時間にいったん目を覚ます

 では、夜型生活から抜け出せなくて困っている人は、どうしたらよいでしょうか。ここでは自宅でもできる三つの対策をご提案します。

 第1に、夜型効果のある夜間照明をできるだけ弱めましょう。生物時計に働きかける光の大部分は青色光(ブルーライト)です。LEDにはブルーライトがたっぷり含まれているので、夜型の人は要注意です。そこで、「欧米のように間接照明にする」「生物時計に作用しにくい暖色系光(オレンジっぽい光)を使う」「調光できる照明の場合は照度を下げる」などを試してください。

 第2に、朝型効果のある午前中の光をできるだけ浴びましょう。太陽光は照度が高く朝型効果も絶大なので、有効に活用しましょう。室内では窓際に座り、外の方に目を向けてください。先にも説明しましたが、体内時計を調節するには、光が目に入る必要があります。せっかく外に出ても、サングラスをしたり、ひさしのある帽子をかぶったり、うつむいて歩いたりしていたのでは朝型効果は半減します。ただし、季節によっては紫外線に気をつけましょう。

 第3に、週末もできるだけ平日と同じ時刻にいったん目を覚まし、光を浴びてください。週末に長時間の寝坊をすると、わずか2日間で生物時計の時刻が数十分も遅れるほか、睡眠リズムが不安定になって「社会的ジェットラグ(時差ぼけ)」と呼ばれる状態となり、体調不良や気分の落ち込みの原因になります。社会的ジェットラグについては改めてご紹介する機会があるでしょう。

出勤、登校時には明るい青空を見よう!

 これから秋冬になると、日照量が低下するほか、日の出が遅くなります。午前中に浴びる光のタイミングが遅くなるため、生物時計の時刻が遅れがちです。生活が夜型になりがちで困っている人は、出勤や登校時に明るい青空が見えるよう、坂本九の名曲を口ずさみながら「上を向いて歩こう」!(三島和夫 精神科医)

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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