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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

制汗スプレーの全身使用は危険! 自分に合ったデオドラント剤を知ろう

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わきがの強さに応じて製品を選ぶ

 次にもう一つの成分、制菌剤の使い方。まず、自分の体臭(わきが臭)の強さと、それに合った制菌剤を知ることが必要です。

 わきが臭の強さを知るには、以前に紹介した綿棒で耳掃除する時にできる 自己判定法 が有効です。わきが臭の強さは、大まかに、①「強いわきが」―キャラメルが溶けたような耳 (あか) がつく ②「軽度から中等度のわきが」―綿棒が湿った状態になる ③「わきが体質ではない」―かさかさで乾燥した耳垢がつく、の3段階に分けられます。自分がどれにあてはまるか分かったら、製品の裏面に記載してある制菌剤の種類によって、自分に合ったデオドラント剤を選択します。

 例えば、強度のわきがでは、ジフテロイド菌のような比較的強い細菌が多く、殺菌作用の強い塩化ベンザルコニウムなどを含む製品を選びます。中等度以下なら生息する細菌数も少なくなりますので、イソプロピルメチルフェノールなどのアルコール系やパラベン、銀製剤などの比較的マイルドな制菌剤が入った商品がよいでしょう。わきが体質でないなら、細菌は主に常在菌の表皮ブドウ球菌ですので、ウェットティッシュで軽くワキを拭くだけでも十分です。デオドラント剤なら、天然の植物抽出液を主に配合したものを選ぶとよいでしょう。

 製品のタイプで選ぶなら、体臭の強い人は、皮膚にしっかり付着して効果の持続時間が長いクリームやロールオンなど「直ヌリ」タイプがよいでしょう。ワキ毛の範囲内に狭く直ヌリをして、その上に軽くスプレーする「二重使用」もより効果的です。

 中等度以下の人なら、清涼感のあるスプレータイプなど自分の好みで選べばよいでしょう。

使用しない日も設けて

 このような基準でデオドラント剤を購入したら、自分の皮膚に合っているかどうか、短期間試し塗りをします。かぶれや湿疹、かゆみが生じるようなら違う製品を選びましょう。

 制汗成分を含まないデオドラント剤なら、ワキ以外に使用しても体温調節に影響することはありません。しかし、皮膚には善玉の常在菌がすんでいて、強いニオイを作る菌の繁殖を防いでいます。広範囲に塗布すると常在菌が排除され、より強いニオイを作る菌の繁殖を助長することもありますので、毎日使う場合には少量にとどめるか、制汗剤同様、ワキと足のみに限るのが無難でしょう。

 また、帰宅したらすぐに、濡れタオルでデオドラント剤を拭き取り、3日に1日くらいは使用しない日を設けるのも大切です。制汗剤にも休肝日のような「休汗日」が必要です。その時、ニオイや汗が心配なら、肌に直接ではなく、衣類にスプレーして消臭機能を持たせ、体臭を外部に漏らさないタイプの「衣類の消臭剤」や、汗を効率よく吸収する「汗わきパッド」などを使用すると安心でしょう。(五味常明 五味クリニック院長)

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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