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医療・健康・介護のコラム
妊活の「いい病院」って? 選ぶポイントは?
Mさん(37)は広告会社の営業ウーマン。結婚はそこそこ早くて26歳だったけれど、仕事が楽しくて、子どもはまだいらないと思って避妊していたそうです。「『今子どもができたら仕事ができなくなっちゃう。それは困る』って思っていたんですよね」
仕事を頑張ったおかげで昇進もでき、今では部下を8人抱えるチームのリーダーです。そろそろ子どもを作ってもいいかなと思って避妊をやめたのですが、全く妊娠せず、焦って病院に行く決心をしたそうです。ところが、ネットで調べると数が多すぎて、どこに行けばいいかわからず、いい病院を教えてほしいと言われました。
「いい病院を教えてください」。非常によく質問されることです。しかし、そもそも「いい病院」の定義は非常に難しい。その人にとって何が「良い」か。その価値基準は様々だからです。一般的に考えられがちなのは、「妊娠・出産できる病院」ということでしょう。しかし、日本産科婦人科学会の2015年のデータでは、体外受精などを受けた人が出産に至る率は平均12%程度。「誰もが絶対に出産できる病院」は残念ながら存在しません。
不妊治療は「タイミング法」から「人工授精」「体外受精」へ
そこで、病院のかかり方のコツをいくつかお伝えしますが、まず、一般的な不妊治療の流れをおさらいしましょう。
不妊症の治療は、その原因によって内容が変わってきます。第1ステップとして、排卵日を特定し、その日に夫婦生活を持つように指導される「タイミング法」、次のステップは男性の精子を採取し、女性の子宮内に注入して妊娠を試みる「人工授精」、その次のステップは、男性の精子に加えて女性の卵子も手術によって採取し、体外で精子と卵子を受精させ、受精卵を女性の子宮内に戻す「体外受精」です。その体外受精のオプションとして、一つの卵子に1匹の精子を直接注入して受精させる方法を「顕微授精」と言います。
ここまで説明すると、「そこまでするのは……」と、通院に二の足を踏む方も多いのですが、治療の前には様々な検査があり、一気にここまで治療が進むわけではないので心配しなくても大丈夫です。また中には、卵管が詰まっていないかを調べる卵管造影検査の後に卵管の通りがよくなり、タイミング法ですぐに妊娠する場合もあります。検査だけでも早めに受けてみたほうがいいと思いませんか?
ステップアップのスピードは年齢や原因によりまちまちですが、おおむね半年ほどのタイミング法の後、半年から1年ほどの人工授精、その後は体外受精に進む場合が多いでしょう。
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