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同性カップル向けサービス…保険、ローン、携帯の家族割引

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 同性カップルを異性の夫婦と同じように認める商品やサービスが広がっている。LGBT(性的少数者)への社会や企業の意識が高まってきていることが背景にある。企業側にとっては、新たな需要が見込めるという期待もあるようだ。(矢子奈穂)

 損害保険ジャパン日本興亜(東京)では、同性のパートナーを配偶者として扱う自動車保険の販売を今年1月から始めたところ、問い合わせが相次いでいるという。

 従来の保険商品では、同性のパートナーは家族と見なされず、補償の対象に含まれていなかった。社会的な意識が変わってきたことから、運転者を「本人・配偶者」に限定すると保険料が割引になる商品などで、同性のパートナーも補償の対象に加えた。

 同性カップルが申し込む場合は、住民票など同居の事実が確認できる公的書類や、同性カップルであるという同意書を提出すればいい。同社の担当者は「他社から保険を切り替えて加入する同性カップルもいる。需要はかなりあると見込んでいる」と期待する。

 同社がサービスの対象を拡大したのは、自治体の動きが影響しているという。東京都渋谷区が2015年、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行する条例を制定。その後、札幌市や大阪市、福岡市など少なくとも8自治体が同様の制度を始め、さらに、千葉市など制度導入を検討している自治体もある。

 こうした動きを背景に、様々な分野でサービスが登場している。

 楽天銀行とリクルート住まいカンパニー(東京)は昨年10月に提携し、同性カップル向けに新しい住宅ローンの仕組みを作った。

 同社が運営する全国の店舗「スーモカウンター」で共働きの同性カップルが新築マンションを購入する際、渋谷区が発行するような証明書がなくても、2人の収入を合算して住宅ローンを組める。

同性カップル向けサービス…保険、ローン、携帯の家族割引

住宅情報誌「SUUMO(スーモ)新築マンション」では同性カップルの特集を組んだことも。田辺さんは「LGBTへの理解を広めたい」と話す

 埼玉県の佐藤潤さん(36)は現在、同性パートナーと暮らすマイホームの購入を検討している。佐藤さんは「昨年、パートナーの男性(28)と結婚式を挙げた。2人の関係をいとこだとうそをついた経験があるが、後ろめたさがあった。同性カップルを家族と扱うサービスが増えるのはうれしい」と語る。

 同社の住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」副編集長で、同性愛者の田辺貴久さん(36)は、「賃貸住宅の検索サイトでもLGBTの受け入れに積極的な物件を紹介し始めた。当事者が安心して住まいを探せるように、理解を広めたい」と語る。

 そのほか、NTTドコモやソフトバンクなどは、携帯電話料金の家族向け割引サービスを同性カップルに適用している。日本生命などは、死亡保険金の受取人に同性パートナーを指定できる。結婚式情報サイト「みんなのウェディング」では、同性同士の挙式に対応する全国の式場をインターネットで検索できる。

 LGBTが働きやすい環境作りを目指すNPO法人「虹色ダイバーシティ」代表の村木真紀さんは、「自治体や企業の取り組みの広がりは歓迎する」とする。一方、「日本には同性婚の法的な権利や保障がない。サービスがあっても申し出にくかったり、差別的な扱いを受けて当事者が悩んだりするケースもまだ多い。社会全体の更なる理解が必要」と指摘している。

LGBT(性的少数者)  レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性の不一致を感じている人)の英語の頭文字からとった総称。電通(東京)の2015年調査では、20~59歳の約7万人のうち7.6%が該当。LGBTを支援・支持することで生まれる消費の市場規模は約6兆円と算定した。

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