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その医療 ホントに要りますか?

コラム

あなたはその降圧薬で大丈夫?…高血圧に二つのタイプ、効く薬も違います

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 前回に続いて、高血圧の治療について考えます。今回は、治療薬はどのように選べばよいか、がテーマです。

「副作用が少なく効果も高い」とされたARBだったが…

あなたはその降圧薬で大丈夫?…高血圧に二つのタイプ、効く薬も違います

 高血圧の薬(降圧薬)には、様々な種類があります。日本でよく使われているのは、アンジオテンシンⅡ受容体 拮抗(きっこう) 薬(ARB=エー・アール・ビー)と呼ばれる種類の薬です。血管を広げる作用があり、従来の薬より副作用が少なく効果も高い、という触れ込みで普及しました。

 しかし、高血圧の治療に詳しい東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師は「ARBが他の薬より優れているという見方は、完全に否定された」と指摘します。

 これを象徴するのが、降圧薬「ディオバン」を巡るデータ不正事件です。ディオバンは、ARBの一種で、スイスに本拠を置く製薬会社ノバルティスファーマが製造販売しています。

 海外では、ディオバンなどARBの有効性を調べる大規模な臨床試験がいくつも行われましたが、従来の薬と比べて心臓病や脳卒中を減らす効果が見られませんでした。

 一方、日本では、京都府立医科大学や東京慈恵会医科大学などが臨床試験を実施し、いずれもディオバンの方が従来の薬より「心臓病や脳卒中の予防効果が高い」という結果が出ました。

患者欺いたディオバンのデータ不正

 ところが、両大学などの臨床試験のデータ解析には、ノバルティスファーマの社員が身分を隠して関与していたことが分かりました。各大学が改めて調査したところ、データの改ざんが判明したのです。

 京都府立医科大学の試験の場合、ディオバンを投与された患者のカルテには「脳卒中などを発症した」と書かれているのに、試験結果を公表した論文のデータには「発症していない」と記載されている、といった具合に、ディオバンに予防効果があったかのような内容に書き換えられていました。

 結局、カルテに記載されていた通りに解析すると、ディオバンには従来の薬に比べ、脳卒中や心臓病のリスクを減らす効果は認められませんでした。有効性データの 捏造(ねつぞう) ともいえる悪質さで、多くの患者や医師を (あざむ) く行為です。

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tanaka200

田中秀一 (たなか・ひでかず)

 医療情報部(現医療部)、社会保障部、論説委員、編集局デスクを経て現職。長期連載「医療ルネサンス」を18年担当、現代医療の光と影に目を凝らしてきた。「納得の医療」「格差の是正」をテーマとしている。

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