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RSウイルス感染症の対策…重症化予防に注射薬

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RSウイルス感染症の対策…重症化予防に注射薬

 乳児や心臓などに病気のある子どもがかかると、肺炎などの重い症状が出やすいRSウイルス感染症。四国地方の女性(32)は、1歳10か月の長男が生後1か月で感染した。治った今も、風邪をひくたびに、ぜんそくのような せき に悩まされている。流行期が早まっており、注意が必要だ。

 RSウイルス感染症は誰もがかかる風邪の一つで、2歳までに1度はかかると言われる。免疫が十分にできず、何度も感染する。潜伏期間は5日前後で、発熱や鼻水などの症状が出る。対症療法しかないが、成人だと通常は数日で治る。

 この女性が長男の異常に気付いたのは、ミルクを飲む時の「ヒューヒュー」という音。ぜんそくのような呼吸音は、この感染症の特徴の一つだ。実際にぜんそくに移行することもあり、女性は「今後も続くのかと思うと不安だ」と話す。

  乳児感染、突然死も

 初めての感染が1歳未満だと、肺炎や細気管支炎など重い症状になりやすい。乳幼児の肺炎の5割は、RSウイルス感染症によるとされ、突然死の原因になることもある。なかでも重症化のリスクが高いのは、心臓病やダウン症、呼吸器が未発達なまま早産などで生まれた子どもだ。

 治療薬はないが、重症化を予防する「シナジス」という注射薬がある。流行が始まる前に打ち始め、終わるまで毎月1回投与を続ける。体重によって投与量が異なり、薬価は1回当たり6万~12万円。高リスクの子どもには保険が適用される。自治体の助成などもあり、実際の窓口負担は少なく済むことが多い。

 ただ、高額な薬の使用に一定の歯止めをかける意味から、保険の適用は流行期に合わせて投与される場合に限られている。日本小児科学会は指針に「流行期は10~12月に開始し、3~5月に終了する」と明記し、これを参考にして投与が行われてきた。

 ところが2016年頃から、それまで秋や冬だった感染のピークが変化。昨年は7月頃から患者数が増え始め、8~9月に1万人以上に達した。今年も同様の傾向を示している。同学会は今年4月、指針の内容を「流行時期は年度によって変動している」と改めた。

 RSウイルスに詳しい群馬パース大学教授の木村博一さんは「流行の実態を反映した指針の改訂により、注射薬の投与が柔軟にできるようになった」と評価する。

  高齢者にもリスク

 一方、「乳児であること自体がリスク要因だ」と指摘するのは、福島県立医科大学小児科准教授の橋本浩一さんだ。海外の報告によると、生後1か月から1年の子どもの死因は、インフルエンザやロタウイルスより、RSウイルス感染症の割合の方が高い。

 また、米国では年間約1万7000人の成人がこの病気で亡くなるが、約8割が65歳以上だという。国内でも介護施設で集団発生することがある。

 いずれの場合も、家族や周りの人が手洗いやマスクをして、ウイルスから遠ざけることが大事だ。橋本さんは「乳児、高齢者が感染すると、重症化のリスクが高まることを認識し、予防に向けて注意を呼びかけていく必要がある」と話している。

 (鈴木希)

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