教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
受動喫煙の影響 深刻なの?
年間推計1万5000人死亡
Q 法律で公共の場所は禁煙になるそうね。
ヨミドック 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、健康増進法が改正され、病院や学校などは屋内完全禁煙となります。ただし、既存の小規模飲食店では、喫煙が認められるなどの例外もあり、世界的な規制の水準に照らすと不十分です。
Q どうして分煙ではだめなの?
ヨ 分煙では、たばこの煙が漏れるのを完全には防げないからです。喫煙室の周囲がたばこ臭いと感じるのは、外にたばこの煙が漏れている証拠です。喫煙室を掃除する人が、受動喫煙の害を被る問題もあります。
Q 喫煙者本人が直接吸う煙と、受動喫煙の煙の成分は違うの?
ヨ 受動喫煙で吸う主な煙は副流煙と呼ばれます。本人がフィルターを通じて吸う主流煙と比べ、ニコチンだけではなく、約70種類の発がん性物質、有毒ガスの一酸化炭素などを高濃度に含みます。
Q でも、有害物質は空気中で拡散して薄まるし、たいした健康被害はないのでは?
ヨ とんでもありません。国内では、受動喫煙の影響で亡くなる人は、肺がん、心臓病、脳卒中だけで年間約1万5000人と推計されます。乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険性も高まります。直接喫煙による死亡者は約12万~13万人とされますが、受動喫煙の被害も深刻です。
Q 受動喫煙で亡くなる人は、女性の方が多いのはなぜ?
ヨ 喫煙者は男性の方が圧倒的に多く、その分、たばこを吸わない女性が、家庭や職場で被害を受けてきたことを示しています。
Q 最近は煙の出ない加熱式たばこを吸う人も増えているようだけど。
ヨ 加熱式たばこは、たばこの葉を燃やさないので副流煙は出ませんが、喫煙者が肺の途中まで吸い込んだ有害物質は、次の呼気で吐き出されます。周囲への影響はまだよく分かっていませんが、禁煙の場所で吸うのはやめてほしいですね。
(田村良彦/取材協力=片野田耕太・国立がん研究センターがん対策情報センター部長、大和浩・産業医科大学産業生態科学研究所教授)
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