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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

診療報酬がほぼ付かない「患者の生活改善支援」…眼科のソーシャルワーカーへの評価は正当?

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診療報酬がつかない「患者の生活改善支援」…眼科病院のソーシャルワーカーへの評価とは?

 生活する上で困っている人たちを支援するため、社会福祉の分野で働く「ソーシャルワーカー」という言葉を聞く機会がよくあると思います。各地の福祉事務所などに勤務するケースワーカーも、ソーシャルワーカーの一部です。ところで、その人たちが取り組んでいる仕事、いわゆる「ソーシャルワーク」とは、どういう仕事なのでしょうか?

 日本学術会議では、「ソーシャルワークとは社会福祉援助のことであり、人々が生活していく上での問題を解決なり緩和することで、質の高い生活(QOL)を支援し、個人のウェルビーイングの状態を高めることを目指していくことである」としています。

 ウェルビーイングは「安寧」などと訳されますが、ここでは「個々の人権を尊重した、積極的で権利性の高い安寧」を意味します。

利用可能な医療福祉制度を探すだけではない

 私は眼科専門の病院に勤務していますが、院内には専属の医療ソーシャルワーカー(SW)がいます。医療機関で働く「医療SW」という職種を私が知ったのは、40年以上前ですが、SWたちはそれ以前から日本の医療現場で働いていました。

 その中でも、眼科の患者に関わる医療SWは主に、目の病気を持つ人、視覚障害者、低視力(ロービジョン)の人たちが受けることができる福祉サービスを調べたり、その人が対象になりそうな場合に申請を促したりする、ということは以前から知っていました。

 しかし、大学病院から眼科専門病院に移ってから、眼科のことをよく分かっている医療SWとともに働くようになって、ソーシャルワークに対する認識が変わりました。

 今の勤務先の医療SWたちは、眼科の治療中だったりハンデを抱えていたりする人たちが家庭や職場などで過ごしやすくなるように調整するほか、通院や在宅医療、介護に関わる人たちとの問題や、経済面の問題などを解決することにも取り組んでいました。私はこれを見て、患者に対してより広い視野を持って支援をする必要があることがよく分かりました。単に利用可能な医療福祉制度を知らせることだけが医療SWの仕事ではないのです。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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