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[介護のいろは](9)住宅改修 どう進める?

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 介護が必要になっても自宅で安全に暮らし続けるための手立てとして、「住宅改修」があります。玄関やトイレに手すりを付けたり、開き戸を引き戸に換えたりすることで、生活の自立を支え、介助する人の負担を抑えることにもつながります。(辻阪光平)

業者探し ケアマネに相談

 

[介護のいろは](9)住宅改修 どう進める?

手すりを持ち、昇降機に座ろうとする男性(大阪府東大阪市で)

■手すりや踏み台

 「自宅を改修したおかげでシャワーを浴び、リハビリにも出かけられる」。難病のパーキンソン病を患う大阪府東大阪市の男性(80)は満足そうだ。

 昨年末に体調を崩し、約1か月半入院した。退院後、歩きづらくなり、要介護度も「要支援2」から最も重い「要介護5」に。今年2月、ケアマネジャーに自宅の改修の相談をして決めた。

 階段の脇にレールを取り付け、座った状態で上り下りできるいす型の昇降機を自費で導入。その上で介護保険を使って、寝室がある2階から1階の浴室までの廊下に手すりを付けた。玄関や浴室の入り口の段差をまたげるよう、踏み台も設置した。

 階段上の手すりは、縦型から遮断機のように水平に下ろすことができ、両手で持つことで昇降機に安全に乗り移れる。その様子を見守る妻(73)は、「狭い空間の介助は難しいのでありがたい」とほほ笑んだ。

■1人原則20万円まで

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 介護保険による住宅改修は生活改善が目的で、適用対象の工事は手すりの取り付けなど5種目と、その付帯工事に限られる=表=。男性が改修を依頼した「ピース・ライフ」(大阪府寝屋川市)の平井亜矢さん(42)は「工事は大体1、2日で済みます」と説明する。市町村への申請に必要な書類の作成や提出は、一般的に着工前に施工業者が行う。賃貸住宅の場合は家主の承諾書も求められる。

 保険が適用される工費は要介護度を問わず1人原則20万円までで、数回に分けての活用もできる。所得に応じ1~3割を自己負担するが、20万円を超えれば超過分は全額負担となる。

 施工後に費用全額を支払い、後で市町村から保険負担分が払い戻されるのが基本。男性の場合、工費は約28万円。20万円の自己負担分(2割)4万円と、超過分約8万円の計約12万円の負担となった。

■複数見積もりを

 施工業者を探す場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに尋ねてみよう。リハビリを受けていれば、体の状況をよく知る作業療法士らに相談する方法もある。

 業者に依頼すると、自宅を訪ね、家屋の状況や本人の体の状態、暮らし方の希望などを確認して改修プランを提案してくれる。平井さんは「どこに手をついてトイレに行くのか、家族の介助の様子などを実際に動きながら教えてもらえれば、生活に即した提案がしやすい」と話す。

 工費や施工技術は業者ごとに異なる。複数の業者から見積もりを取り、内容を比べてから業者を決めると安心だ。

[専門家に聞く]移動に不安感じたら一考

 

 改修するタイミングや契約のトラブルを防ぐコツについて、住宅改修の出前講座を実施する大阪市のNPO法人「ふくてっく」副理事長、清水麗子さんに聞いた。

 

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 以前なら問題がなかった場所で転びかけるなど、家の中の移動に不安を感じたら改修の考え時です。家族も、机や壁に手をついてドアを開けたり立ち上がったりする様子を見かけたら、ケアマネジャーらに相談してみてください。

 効果的な改修のため、施工業者選びは大切です。市町村によっては一定の研修を受けた業者を登録する仕組みがあるので、自治体の介護保険担当に登録業者の情報を尋ねるといいでしょう。

 業者の訪問時はケアマネジャーに同席を求め、家族もできるだけ立ち会います。最初から「廊下に手すりをつけて」などと対応を求めるのではなく、「居間の出入りでつまずく」「夜、トイレに行く時に転ぶ」と、生活のどの場面でどんな動作が大変かを伝えましょう。改修しなくても、家具の配置換えや照明の工夫で改善できる場合があります。

 トラブルに遭わないよう、見積書などの書類はコピーをもらい、納得がいくまで説明を聞いた上で契約しましょう。

<疑問や思い 募集します>
 「介護のいろは」は毎月1回の掲載です。介護に関する疑問や今後読みたいテーマ、介護に抱く思いも募集しています。〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部「介護のいろは」係へ。ファクス(06・6365・7521)、メール(seikatsu@yomiuri.com)でも受け付けます。

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