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第24回口腔保健シンポジウム

イベント・フォーラム

[第24回口腔保健シンポジウム](3)人生100年 歯を大事に

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  パネリスト (敬称略)
  松久宗英  徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター長・教授
  山崎和久  新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野教授
  益子直美  元バレーボール日本代表、タレント

人生100年 歯を大事に

 ――今回のシンポジウムは、80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020運動」の推進も目的です。その割合を50%にしようという目標は2016年に達成できましたが、運動が始まった頃はどれくらいだったでしょう。

  益子  25%くらいですか。

  山崎  始まった1989年当時は、わずか7%でした。

  益子  びっくりです。祖母も総入れ歯でした。

 ――人生100年時代で重要になるのが「健康寿命」です。定義をご存じですか。

  益子  寝たきりにならず、介護を受けずに生活をできることでしょうか。

 ――そうですね。

  松久  ペットボトルを開けるのが難しくなったら、ゴムまりで握力トレーニングを始めるなど、気付いたらすぐに運動を始めるなど対応しましょう。元気で長生きできる時間をいかに延ばしていくかは、始める時期と努力次第です。

 ――高齢者でも筋肉量が増えるんですね。

  松久  重さにあらがう運動が大事です。イスに座って片足を上げ下げする。テレビを見ながら足踏みをする。たんぱく質を少し多めに食べましょう。

 ――認知症と糖尿病の関係を教えてください。

  松久  糖尿病の過程で肥満になるとインスリンという血糖値を下げるホルモンが効かなくなります。脳も高血糖やインスリン作用不足になり、認知機能低下につながるということです。

 口を動かしてかむことで脳が刺激され、認知機能の改善にもつながります。30回かむことは、認知症予防の面からみて良いことだと思います。

 ――歯周病と糖尿病の関係はどうでしょう。

  山崎  歯周病になるとインスリンの効果が出にくい「インスリン抵抗性」という状況になり、糖尿病には良くないです。

 たくさんかむことは、インクレチンというインスリンの分泌を促すホルモンを増やし、食欲を高めるグレリンというホルモンは減らすというデータも発表されています。かみ応えのあるものをしっかりかむことが糖尿病の治療につながるのです。

 歯周病で歯がぐらついたり、歯が抜けたりすると、それができません。歯周病をしっかり治さなければならないのです。

 ――口の中の細菌が腸と関係しているというお話がありました。

  山崎  口からのみ込んだ菌が腸内細菌のバランスを崩しているのではないかと仮説を立て、それが動物でも人間でも起こっていることがわかってきました。

 ――歯周病の予防が全身の健康に関わっているのですね。

  益子  歯だけではなく、体の奥まで関係しているんだなと驚きました。あとは運動。「運を動かす」と書くので、運が良くなりたかったら少しでも運動してねと、周囲に言っています。

食事しっかり 運動も

 ――会場からの質問です。「65歳になったら積極的に肉を取るのが良い」という松久先生のお話ですが、「50歳からに早めるのは問題ですか」。

  松久  近年、65歳までで肉などたんぱく質が多い食事をする人たちはがんになりやすいため、短命につながるという研究成果が出ました。

 また最近、糖分を減らしておかずだけ食べるという低糖質ダイエットが流行しています。これは短期間で体重を下げる効果は素晴らしいですが、長期間行うと、食事がおかずだけになり、たんぱく質を過剰に取ることで寿命を短くする効果の方が強くなることが懸念されます。

 65歳以上は、意識して不足しがちなたんぱく質を摂取してほしい。より若い人たちは、肉を食べること自体は悪いことではないけれど、食べ過ぎるのは問題だと認識してください。

 ――バランスが大事なんですね。次に山崎先生に。「自分の口の中や腸内の細菌の状態を知る方法はありますか」

  山崎  残念ながら、まだ気軽に調べられる段階ではありません。

 ――益子さんに。「すてきなスタイルですね。食事で気を付けていることはありますか」

  益子  午後6時に夕食を食べます。夫は現役の選手で午後10時には寝ますので、消化してから睡眠をと考えたからです。肉も好きですが、野菜と魚が多く、しっかりかむことを心がけています。

[第24回口腔保健シンポジウム](3)人生100年 歯を大事に

コーディネーター 南砂・読売新聞東京本社 常務取締役調査研究本部長

  松久  食後に体を動かす時間があるということで血糖値があまり上がらず、インスリンの分泌を抑えられます。肥満防止にもつながり、非常に良いことだと思います。

 ――締めくくりのメッセージをお願いします。

  松久  健康寿命を延ばすのに運動に勝るものはありません。工夫して体をどんどん動かしてください。

  山崎  口は体の入り口で、全身の健康とも密接に関わっています。口腔ケアから健康の維持を図ってください。

  益子  生きている限りおいしい物を食べられるように、口腔ケアをしっかりして長生きしましょう。

歯周病 40歳以上の8割

 歯周病は、口の中にいる「歯周病菌」が歯の周りにある歯肉で炎症を起こし、歯を支える骨を破壊する病気。最後は歯が抜け落ちる。初期の歯肉炎を含めると、40歳以上の約8割がかかっている。歯周病菌の塊が歯垢で、いかにこれを早期に取り除くかが予防のカギになる。

 普段の歯磨きの習慣や喫煙の有無などがかかりやすさに大きく関係する生活習慣病だ。

 歯への影響だけでなく、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中、肺炎などさまざまな病気を引き起こしたり、重症化させたりすることもわかってきた。

 【参考になるウェブサイト】

◇日本歯科医師会 テーマパーク8020
https://www.jda.or.jp/park/

◇サンスター Mouth&Body PLAZA
http://www.mouth-body.com/

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