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フレイル(加齢に伴う虚弱)(下)楽しい外出 自治体が演出

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介護必要な高齢者 割合低下

フレイル(加齢に伴う虚弱)(下)楽しい外出 自治体が演出

若い親子と夕食を楽しむ70代、80代の高齢者たち(大分県豊後高田市の「ふれあい食堂」で)

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 社会とのつながりを持つことが、高齢者の心身の健康維持に役立つと注目されている。外出する機会をふやし、人との交流を持ってもらうことを後押しする行政や民間の動きを追った。

 「おばあちゃん、一緒に食べよう」――。大分県豊後高田市で定期的に開かれる「ふれあい食堂」。同市の支援で地元の有志が運営する。子どもや若い親たちに交じって、地元の高齢者が一緒に食卓を囲む。

 メニューは1食300円。同市の安部イツミさん(102)は、「家で1人で食べるよりおいしい。外に出てたくさんの人と話すと、元気をもらえる」と笑う。月に1度近所の人たちと一緒に食堂へ行くのを楽しみにしている。体調は良好で、介護も必要としていない。

 同市は2010年頃から、「高齢者がたのしいまち」をスローガンに掲げ、外出支援に力を入れていることで知られている。

 ユニークなのは、65歳以上で要介護状態ではない人全員に心身の状況などを記名式で尋ねている点だ。機能が弱り始めている人に体操教室に出かけるよう促す。

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 元気な人に対しても、外出先の選択肢を広げているのも特徴だ。助成制度を活用するなどして、中心地に、高齢者であれば500円で楽しめる映画館やシニア向けの商品が充実しているリサイクルショップ、習字などの習い事を楽しめるスペースを次々とオープン。「高齢者が輝く」という願いを込めて、商店街の通りを「プラチナ通り」と名前も変えた。

 同市の担当者は、「自らが選び、楽しんで出かけられるようなまちづくりを意識している」と話す。

 同市の65歳以上で、介護が必要と認定された人は10年の19.8%から18年には16.4%にまで低下。全国平均を1.6ポイント下回っている。

 他の自治体でも、企業と連携して、外出を後押ししている。介護予防につなげたい自治体と、シニア層を取り込みたい企業の狙いが一致したかたちだ。

 都市部などで広がる「高齢者優待カード」はその一つ。自治体が高齢者に発行するカードのことで、これを提示すれば地元飲食店で「ドリンク1杯サービス」などの特典を受けられる。

 08年に取り組みを始めた横浜市の協賛店は約2000店。市内の高齢者約86万人が利用する。担当者は「定期的な外出や仲間作りにつながるカルチャー教室など、協賛店も増えている」という。同様の制度は、さいたま市や群馬県などでも広がる。

 企業が独自にシニア特典を設ける例も目立つ。

 ファミリーレストランなど一部の飲食店では、代金を割り引いたり、和食や少量のメニューを増やしたりしている。カラオケ店などもシニア料金を設定、年金支給日に合わせてお得な割引制度を設ける小売店もある。

「閉じこもり」チェックして

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 厚生労働省は、要介護状態となる恐れの高い高齢者を自治体などが簡単に把握できるよう、「基本チェックリスト」を公表している。「閉じこもり傾向」「生活機能全般」など、七つの指標があり、全体で25項目の質問項目がある。

 豊後高田市は介護予防のために活用しており、「閉じこもり傾向」のある高齢者の割合が、2012年から17年にかけて、12.3%から7.1%へと5ポイント以上減少した。

 介護予防に詳しい福島県立医科大の安村誠司教授は「高齢者が自ら『外出したい』と感じる魅力ある環境を作るのが重要」と指摘する。その上で、「高齢者は、自分の健康だけではなく、地元の活性化という地域貢献にもつながることを意識して、積極的に外出してほしい」と話している。

 この連載は、医療部・高橋圭史、生活部・谷本陽子、社会保障部・大広悠子が担当しました。

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