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フレイル(加齢に伴う虚弱)(上)リスクを知って生活見直し

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社会参加、口の機能 要チェック

フレイル(加齢に伴う虚弱)(上)リスクを知って生活見直し

 社会の高齢化が進むなか、介護が必要になる手前の活力が低下した状態「フレイル」への関心が高まっている。フレイルとはどのようなもので、どのような対策があるのか。3回にわたって連載する。

 「ちょうどぴったり!」

 「私は隙間があるなあ」

 会場に集まった65歳以上の男女が、両手の親指と人さし指で作った輪で、自分のふくらはぎの一番太い部分を囲んでいる。

 司会者が「隙間がある方がスリムでよいと思うかもしれませんが、違います。筋肉量が少なくなっている可能性があるので要注意」と説明した。

 7月末に千葉県柏市内で開かれた「フレイルチェック講座」の冒頭、「指輪っかテスト」の様子だ。

 ところで、「フレイル」とは何なのか――。

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両手の親指と人さし指で作った輪を、ふくらはぎの太い部分に当ててみる「指輪っかテスト」。隙間ができれば、筋肉減少の可能性がある(7月31日、千葉県柏市内で開かれたフレイルチェック講座)

 日本老年医学会が2014年、「虚弱」を意味する英語「frailty」をもとに作った言葉。要介護に至る前の筋力や活動が低下し始めた状態を指す。「この段階なら回復可能」と啓発している。

 柏市では15年度から、市民向けに「フレイルチェック事業」を展開。年に50回ほどチェック講座を開き、昨年度までに約1800人が参加しているという。

 講座では、まず「指輪っかテスト」と、質問票を用いた「イレブン・チェック」(表参照)による簡易チェックを行い、その後、筋力測定や滑舌テストなどの深掘りチェックに進む。イレブン・チェックは「お茶や汁物でむせることがあるか」「昨年と比べて外出の回数が減っているか」など11項目に「はい」「いいえ」で答える。回答欄の右側に該当すると赤シール、左側なら青シールを貼る。赤シールが多くなるほど、フレイルのリスクが高いと見なされる。

  ■住民研究の成果

 指輪っかテストもイレブン・チェックも、東京大学高齢社会総合研究機構が、65歳以上の柏市民約2000人を対象に、12年から始めた「柏スタディー」という研究をもとに作られた。

 同機構の飯島勝矢教授は「フレイルは、筋力などの身体機能の低下より先に、社会参加や口の機能の衰えから始まる」と解説する。社会との関わりが薄れると身体活動も低下し、口の機能の衰えは栄養不足を招く恐れがあるというわけだ。

 柏スタディーでは、同居者がいるのに毎食1人で食べる「孤食」の人は、1日1回でも誰かと食事する人に比べ、うつ傾向になるリスクが約4倍で、低栄養になったり、歩行速度が遅くなったりするリスクも高かった。

 口の機能の衰えが一定程度確認された人は、4年以内に要介護認定されたり、死亡したりするリスクが高いという結果も出た。

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 また、同市の高齢市民約5万人を対象にした調査では、必ずしも日常的に「運動」をしていなくても、「文化活動」「地域活動」の両方をしている人は、フレイルのリスクはそれほど高くない(グラフ参照)という結果だった。

 飯島教授は「もちろん運動はした方がよいが、あえて運動・スポーツという形をとらなくても、人とのつながりがあれば、結果的に、歩くなどの身体活動を一定程度行っていると考えられる」と話す。

 フレイルについては、統一された判定基準があるわけではない。海外の報告をもとに、〈1〉半年で体重が2、3キロ以上減った〈2〉疲労感が続く〈3〉運動(農作業も含む)の機会がない〈4〉握力が男性26キロ、女性18キロ未満〈5〉青信号のうちに横断歩道を渡れない――の5項目中3項目に該当したらフレイルとみなす、という目安が使われることもある。

  ■対策広がる

 フレイルチェックは、自分の体力低下のリスクに早く気づき、生活習慣を見直してもらおうというもの。

 柏市のチェック講座に参加した八並恵子さん(75)は、「(リスクを示す)赤シールがついたのは握力だけでしたが、青判定だった項目も、ほとんどギリギリだったので、油断せずに気をつけようと思いました」と話す。同市では、参加者にフレイル予防のための体操講座なども開いている。

 飯島教授によると、イレブン・チェックなどを用いたフレイル対策事業は、昨年度までに全国の約20市区町村で始まっており、今年度中に40近くに広がる見込みだという。

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